テレビ東京のドラマ『能面検事』を結局全話見た、姉です。
第8話はいよいよ最終話。
第6話から続いてきた“ロスト・ルサンチマン”事件がついに決着する。
犯人の正体については、第6話あたりから「もしかしてこの人なのでは」と思っていたので、個人的には想定の範囲内。
それよりも今回気になったのは、またしても重傷からあっという間に復帰する不破の驚異的な回復力や、爆弾の箱からラベンダーの香りを嗅ぎ取った前田の嗅覚。
そして全8話を見終えて改めて思った。
『能面検事』なのに、不破は最後まで一度も法廷に立たなかった。
以下、少しネタバレを含みます。
刺されても普通に仕事へ戻る不死身の不破
第7話の最後で、不破は何者かに刺されて倒れる。
最終話の序盤では、手術は無事に終わったものの、まだ意識が戻っていないほどの重傷だとわかる。
かなり深刻。
ところが、どれくらい時間が経過したのかよくわからないまま、突然スーツ姿の不破が大阪地検へ戻ってくる。
「もう仕事してるの?」
となった。
第2話でも胸のあたりを銃で撃たれて重傷を負い、かなり早く復帰していた。
そして今度は刺されても復帰。
不破の強運と回復力は、すごいを通り越してもはや不死身。
無表情で撃たれても刺されても戻ってくる姿を見ていると、少しターミネーターっぽくさえ見えてきた。
前田はラベンダー数粒を嗅ぎ分ける
爆破事件で重傷を負った前田は、病院で当時の記憶を思い出す。
爆発した箱から、
「ラベンダーのような香りがした」
という。
これが事件解決の手掛かりになる。
ただ、実際に箱の中に入っていたのは、底に紛れ込んだほんの数粒の乾燥したラベンダー。
それを箱を開けた時点で嗅ぎ取ったらしい。
「そんなにわかる?」
と思った。
前田、かなりの嗅覚の持ち主。
事件解決には必要な手掛かりなのだけれど、そこが妙に印象に残ってしまった。
犯人は不破を刺したことを話さない
最終的にロスト・ルサンチマン事件の犯人が明らかになる。
爆弾を作ったこと。
大阪地検へ送りつけたこと。
さらに笹清を逃走させるため、移送中の警察官をスタンガンで襲ったことなども説明する。
でも、不破を刺した話は出てこない。
目の前には刺された本人がいる。
それなのに、
「あなたを刺したのも私です」
とは言わない。
不破も、
「私を刺したのはあなたですか?」
とは聞かない。
そこは普通に確認しないのだろうか。
見ていてかなり気になった。
ロスト・ルサンチマン事件の目的は結局“復讐”
犯人の目的は、恋人だった内海菜月を殺した笹清への復讐。
そのためにロスト・ルサンチマンを名乗り、大阪地検へ爆弾を送り、社会を煽り、模倣犯まで出るような状況を作った。
最終的な狙いは、警備を混乱させて笹清へ近づくこと。
でも、
「復讐なら1人でやってくれ」
と思ってしまった。
大阪地検の職員は重傷を負う。
関係のない人たちまで危険にさらされる。
模倣犯によって他の地検にも爆弾騒ぎが広がる。
恋人を殺された恨みはわかるけれど、その復讐のために被害者を増やしてしまっている。
そもそも最初から捕まる覚悟があるなら、これほど大規模な混乱を起こさなくても笹清を狙う方法はありそうに思えた。
逃げ切るつもりだったからこそ、警備を手薄にする必要があったのだろうか。
犯人は第6話からなんとなくわかってしまった
『能面検事』は毎回ゲスト出演者も気にしながら見ていた。
そのため第6話から最終話まで出演し、そこまで重要そうに見えないのに毎回きちんと役名が表示される人物がいると、
「この人、何かあるのでは?」
と思ってしまう。
実際、第6話の時点からかなり怪しく見えていた。
なので最終話では、
「犯人は誰なのか」
というより、
「単独犯なのか」
「ロスト・ルサンチマンは複数人なのか」
「何が目的なのか」
のほうが気になっていた。
犯行動機は、恋人を殺されたことへの復讐。
かなりオーソドックス。
しかもその恋人関係が終盤で出てくるので、少し後出しジャンケンっぽく感じた。
どんでん返しを狙ったのだろうけれど、個人的にはそこまで驚きはなかった。
最後の不破はやっぱり『遺留捜査』っぽい
事件の最後、不破が犯人と向き合って話す場面。
ここはやっぱり少し『遺留捜査』を思い出した。
上川隆也さんが静かな口調で相手の心情へ踏み込み、事件の意味を語る。
役柄はまったく違う。
不破は無表情で、糸村はもっと柔らかい。
それでも上川隆也さんが演じると、どこか似た空気を感じる。
今回の犯人との対話も、不破が感情を爆発させることなく淡々と話すからこそ、言葉が強く聞こえた。
『能面検事』なのに最後まで法廷に立たなかった
全8話を見終えて、一番特徴的だったのはここかもしれない。
検事が主人公。
タイトルも『能面検事』。
でも不破は、一度も法廷に立たなかった。
被疑者を聴取する。
証拠を調べる。
警察の捜査に疑問を持つ。
自分で現場へ行く。
事件の真相を見抜く。
やっていることだけを見ると、
「『相棒』の右京さんみたい」
と感じることも多かった。
検事ドラマというより、検事という立場の人が事件を捜査するミステリー。
これはこれで面白かった。
ただ、「検事ならでは」の法廷での見せ場を期待していた人には、少し違う作品だったかもしれない。
最後まで気になった関西弁
舞台は大阪地検。
当然、関西弁を話す人物も多い。
私は関西弁を話せないので細かな違いまではわからない。
それでも、
「ちょっと不自然なのでは?」
と感じる場面が何度かあった。
関西弁を普通に話せる役者さんを使う。
もしくはキャラクターによっては標準語で話す。
そのほうが余計なところへ意識が向かずに見られたのでは、と思う。
大阪が舞台だからこそ、最後までそこは少し気になった。
第2話の銃撃犯は結局捕まらないまま
そして全話を通して、一番残念だったのが第2話の銃撃事件。
不破は夜の街中で拳銃で撃たれ、重傷を負った。
犯人は銃を持ったまま逃走。
かなり重大な事件。
それなのに、その後ほとんど進展が描かれないまま最終話を迎えた。
最終章でロスト・ルサンチマンにつながるのかと思っていたけれど、特にそういうこともない。
検事が町中で撃たれ、犯人が逃走したまま。
これはさすがに気になる。
ナイフで刺されたり、階段から突き落とされたりする事件ならまだしも、拳銃。
残弾があるかもしれない銃を持った人物が逃走している。
大阪府警が捕まえられないなら、不破自身に最後まで追いかけて解決してほしかった。
上川隆也さんの“能面”ぶりは最後まで見事
いろいろ気になる部分はあった。
それでも最後まで見続けられた大きな理由のひとつは、やっぱり上川隆也さん。
ほとんど表情を変えない。
感情的な場面でも能面。
銃で撃たれても能面。
刺されても能面。
ここまで徹底して演じ切るのはすごい。
最初は、
「無表情の主人公ってドラマとして成立するのかな」
と思っていた。
でも全8話を見終えるころには、この表情の変わらなさ自体が完全に不破俊太郎という人物になっていた。
まとめ|ツッコミどころはあっても全8話楽しめた
『能面検事』最終話では、ロスト・ルサンチマン事件の真相が明らかになった。
犯人については個人的には想定の範囲内。
動機も恋人を殺された復讐という比較的わかりやすいものだった。
その一方で、不破の驚異的な回復力や、前田の嗅覚、第2話の銃撃犯が最後まで捕まらないことなど、ツッコミたくなるところもいろいろあった。
そして結局、不破は一度も法廷に立たなかった。
「検事ドラマ」というより、無表情な検事が独自の方法で事件を解決していくミステリーだったと思う。
なんだかんだ言いながら全8話を見ることができたし、上川隆也さんの“能面”ぶりも最後まで面白かった。
機会があれば、中山七里さんの原作も読んでみたい。
次のテレビ東京「ドラマ9」は唐沢寿明さん主演の『コーチ』。
こちらもどんな作品になるのか楽しみにしている。

