日本版『怪物』第9話と、オリジナル韓国版『怪物』の第13話・第14話を見てみた、姉です。
日本版は全10話、韓国版は全16話。
今回は日本版第9話が、韓国版第13話「問う」と第14話「答える」にほぼ対応する内容になっている。
日本版第9話は約45分。
韓国版は第13話が約1時間2分、第14話が約1時間1分なので、合計約123分。
ここまで何度も書いてきたけれど、時間の差はかなり大きい。
そして今回は、単純に「細かな描写が省かれている」というだけではなく、話そのものの組み立て方にもかなり違いが出てきた。
正直なところ、第9話に関しては韓国版第13・14話のほうがかなり面白かった。
以下、少しネタバレを含みます。
今回は日本版と韓国版で話そのものがかなり違う
これまでも両作品には細かな違いがたくさんあった。
でも第9話は、その差が特に大きい。
韓国版では、ドンシクが警察庁次長ハン・ギファンに呼ばれ、ソウル庁監察調査係へ異動する。
そして、ハンが警察庁長官になるための重要な人事聴聞会が開かれる。
テレビ中継まで入る公の場。
そこへドンシクが突然現れ、会場にいたジュウォンをおとり捜査の件で逮捕する。
かなり派手な展開。
しかも、これはもともとジュウォン自身が提案した作戦だった。
ジュウォンは自分自身まで利用する
ジュウォンは、父親の前で自分を逮捕させる。
本来は逮捕後に黙秘することを条件に、ドンシクがその作戦へ乗ったはず。
ところがジュウォンは黙秘しない。
自分の罪を認め、その結果、停職処分となる。
ここまでやるのかと思った。
父親の疑惑を明らかにするために、自分の経歴や立場まで犠牲にする。
ただ真実を知りたいというだけではなく、
「自分も無傷ではいられない」
という覚悟がある。
韓国版のジュウォンは、ここへ来てかなり魅力的な人物になってきた。
日本版ではこの流れがほぼない
一方、日本版にはこの大きな流れがない。
富樫は生活安全課のまま。
八代が逮捕されることもない。
おとり捜査の件についても、以前監察に呼ばれて話したあと、どう処分されたのかはっきりしないまま進んでいる。
日本版の八代も、父親が事件に関係している可能性へ気づいてからはかなり動く。
でも韓国版のジュウォンと比べると、
「自分を犠牲にしてでも真相へ近づく」
という覚悟の見せ方はかなり薄い。
最終話で八代がさらに大きく動くのか期待したい。
日本版と韓国版では“署長”の役割も違う
日本版で殺害された羽多野署署長・秋山は、連続殺人犯が留置されていた時の防犯カメラ映像を改ざんした本人。
一方、韓国版で殺害されたマニャン派出所所長ナム・サンベは、映像を改ざんしていない。
韓国版で改ざんしたのは、別のムンジュ警察署長チョン・チョルムン。
つまり韓国版では、
「殺された所長」
と、
「証拠を改ざんした署長」
が別人物。
日本版ではそこを1人へまとめている。
全10話へ圧縮するための整理なのだろうけれど、この違いによって人物同士の関係性もかなり変わっている。
中橋よりイ・チャンジンのほうがキャラが濃い
日本版の中橋建設社長・中橋陽平と、韓国版のJL建設代表イ・チャンジン。
こちらも同じポジションの人物とは思えないくらい雰囲気が違う。
中橋は比較的穏やか。
物腰も柔らかく、感情を大きく表には出さない。
一方、イ・チャンジンはかなり派手。
服装や髪型も目立つし、会話の途中でロシア語が混ざる。
短気。
荒っぽい。
そしてなにより狡猾。
キャラクターとしてかなり立っている。
もちろん演出の方向性が違うだけだと思うけれど、見ていて面白いのは個人的にはイ・チャンジンのほうだった。
日本版の八代もようやく活躍してきたけれど
日本版の八代は、父・正義への疑いを持ってからかなり動くようになった。
序盤では韓国版のジュウォンと比べると無口で、少し存在感が弱く感じることもあった。
でも終盤に入ってからは、自分なりに真実を追おうとしている。
ただ、韓国版のジュウォンはさらに大胆。
マスコミへ情報を流す。
テレビ中継されている父親の人事聴聞会で、自分を逮捕させる。
自分の罪も認める。
やっていることの規模が違う。
父親と対峙するために、自分の立場まで賭ける。
この“身を切る覚悟”が、韓国版第13・14話をかなり面白くしていた。
正義は長官の先に政界進出まで考えている
日本版の八代正義は、警察庁長官を目指しているだけではない。
その先に政界進出まで考えている。
韓国版のハン・ギファンには、今のところそこまでの話は出ていない。
そう考えると、日本版の正義は最初から政治家になることまで見据えていたのだろうか。
大手建設会社とのつながりや、結婚まで含めて、
「すべて自分の出世のためだったのでは?」
と思えてくる。
日本版では、正義の野心をかなりわかりやすく大きくしているように見える。
比べるのは酷だけれど、今回は韓国版のほうが面白かった
日本版は全10話。
韓国版は全16話。
しかも今回は、日本版45分に対して韓国版は約123分。
そもそも同じ密度を求めるのは酷だと思う。
それでも今回は、単に時間の長さだけではなく、物語の見せ方そのものにかなり差を感じた。
韓国版では、
「怪物と向き合うためには、自分自身も何かを失う覚悟が必要」
という部分が強い。
ジュウォンは自分の立場を差し出す。
ドンシクも危険を承知で動く。
真実を暴くために、ただ安全な場所から追及しているわけではない。
その執念や覚悟が、韓国版のほうが強く伝わってきた。
日本版はやっぱりテンポの良さが強み
もちろん日本版にも良さはある。
テンポはかなりいい。
話がどんどん進む。
韓国版2話分を45分にまとめても、事件の大筋がわからなくなることはない。
これはかなりすごい。
ただ、終盤になるほど、
「なぜこの人物がそこまでやるのか」
「この人は何を失う覚悟で動いているのか」
という部分が重要になってくる。
そこは、時間をかけて人物を積み上げてきた韓国版の強さが出てきた。
最終話は勧善懲悪で終わるのか
第9話までで、
誰が誰を殺したのか。
誰が事件を隠したのか。
誰が25年前/20年前の事件に関わっているのか。
かなり見えてきた。
残るのは、それぞれの罪がどう明るみに出るのか。
全員きちんと罪に問われ、勧善懲悪ですっきり終わるのか。
一部だけが処罰され、少しもやっとした結末になるのか。
あるいは、さらに何かひっくり返るのか。
いよいよ最終話。
まとめ|日本版は残り1話、韓国版との差をどう埋める?
日本版『怪物』第9話と韓国版第13・14話では、事件の真相だけでなく、八代/ジュウォンと父親の対立も大きく動いた。
ただ今回は、これまで以上に両作品の違いが大きかった。
特に韓国版のジュウォンが、自分自身を逮捕させてまで父親へ迫る展開はかなり印象的。
イ・チャンジンのキャラクターも強く、物語全体の緊張感も韓国版のほうが上に感じた。
日本版はテンポよく進むことが最大の強みだけれど、第9話については個人的には韓国版第13・14話のほうが断然面白かった。
次はいよいよ日本版最終話。
韓国版では残り第15話が約1時間1分、第16話が約1時間19分。
合計すると約140分。
このボリュームを日本版が1話でどうまとめるのか。
最後まで見比べてみようと思う。

