『大追跡 Season2』第6話では、10年前に起きた未解決殺人事件を追うため、DNAから犯人の顔を予測する「FDP(フォレンジックDNAフェノタイピング)」が登場した。
いかにもSSBCらしい最新デジタル捜査が始まるのかと思いきや、浮上したのは仁科瑠美の婚活相手・西尾智明。
そこから結婚相談所への聞き込み、デートの監視、飲み終わったコップの回収と、いつの間にか警視庁総出の身辺調査のような展開になっていく。
しかも、FDPが導き出した顔は西尾にけっこう似ているような……。
最新DNA捜査から婚活、そして最後は恒例の人海戦術まで、第6話で気になったところをつっこんでいく。
『大追跡』第6話は最新技術と婚活が妙に混ざり合う
第6話で登場したのは、現場に残されたDNAから犯人の顔を予測する「FDP(フォレンジックDNAフェノタイピング)」である。
10年前の未解決事件を解決するため、SSBCはFDPによって作られた顔をもとに候補者を探し始めた。
ところが、その事件の被害者・小池百音の元婚約者が、よりによって仁科瑠美の婚活相手・西尾智明だった。
そこから仁科は結婚相談所で西尾のことを探り、SSBCの仲間たちはデートを監視。飲み終わったコップまで回収してDNA鑑定へ回す。
やっていることは殺人事件の捜査なのだが、見た目だけなら警視庁による豪華すぎる婚前調査である。
最新DNA捜査と婚活がここまで自然に合流するとは、さすがに予想していなかった。
FDPで作った顔、どう見ても西尾に見える
FDPによって予測された犯人の顔をもとに、SSBCは顔認証で候補者を探していく。
81%マッチする人物も見つかり、そこから身元確認が始まった。
ところが、被害者の元婚約者として西尾智明の名前が浮上すると、少し気になることが。
FDPが作った顔、西尾に普通に似ていないだろうか。
もちろん完全に同じ顔ではないし、髪型や年齢による印象の違いもある。しかし輪郭や目元を見ると、「候補から外すほど違うか?」と思ってしまう程度には似ている。
ところが仁科は、西尾について「FDPの顔とは違う」と否定する。
婚活相手なので、そう思いたい気持ちが多少混ざっていたのかもしれない。
こちらとしては西尾を疑う以前に、「いや、その顔けっこう似てますよ」と仁科へ教えたくなる場面だった。
科捜研の牧、未解決事件のDNAを勝手に研究して大丈夫なのか
そもそも今回の捜査、始まり方からしてかなり自由である。
FDPを研究している科捜研の牧は、10年前の未解決事件で保管されていた犯人の血痕を使い、DNAから顔を予測していた。
しかしFDPは、まだ日本では証拠として採用されていない技術だという。
光本も「勝手にいいのか」と気にしていたが、牧は特に答えることなく話を進める。
さらに八重樫へ持ち込むと、「日本で証拠として採用されてない」「気持ち悪い」とあっさり追い返されてしまった。
普通ならここで終了である。
ところが名波が「やってみてもいいんじゃないか」と言い出し、SSBCはFDPの画像を使って候補者探しを開始する。
その後、久世から事件の解決を求められた八重樫まで態度を一変。「使えるものはなんでも使う」とFDPを利用し始めた。
いつの間に正式な捜査になったのだろうか。
研究目的の画像を参考情報として使っているだけ、と考えれば分からなくもない。
それでも「勝手にDNAから顔を作りました」から警視庁総出の捜査へ発展していく流れはかなり豪快である。
最新技術以上に、その導入スピードのほうが未来的だった。
10年前のアリバイを3人ともよく覚えていた
FDPの予測顔から浮上した候補者のうち、3人には10年前の事件当時のアリバイが確認された。
さらっと進んだが、ここも気になる。
事件が起きたのは2016年4月20日の夜。
10年前の特定の日に自分がどこで何をしていたのか。普通なら「そんな昔のこと覚えていない」となりそうだが、3人ともきっちりアリバイが成立して候補から外れていく。
もちろん勤務記録や周囲の証言などから確認した可能性もある。
ただ、そのあたりの説明はなく「3人にはアリバイがありました」で終了。
FDPより、10年前の行動をあっさり確認できる捜査力のほうが少し気になった。
仁科の婚活相手をSSBC総出で調べ始める
今回もっとも妙だったのは、仁科の婚活相手・西尾智明が、10年前に殺害された小池百音の元婚約者だったことである。
しかも西尾は、当時の捜査で一度シロと判断されていた。
普通なら一課へ報告して、改めて調べるところだろう。
ところが名波は、「もしシロだった場合、結婚が破談になるといけない」と、もう少しSSBCだけで調べようと提案する。
殺人事件の捜査と仁科の婚活が、完全に同じ天秤へ乗ってしまった。
そこからはさらにすごい。
仁科は結婚相談所へ行き、西尾の趣味がホラー映画、それもスプラッター系だと確認。行ってみたい場所がインド・ネパールだと知ると、凶器のククリナイフと結びつけて疑いを深める。
ついには西尾とのデートをSSBCの面々が監視し、学生時代の写真がないか探らせる。
そして極めつけは、飲み終わったコップの回収である。
伊垣の指示でコップを持ち帰り、そのまま科捜研でDNA鑑定。
もはや婚活相手の身辺調査としては豪華すぎる。
殺人事件の容疑者候補なのだから必要な捜査ではある。
それでも仁科本人がデートし、仲間が見張り、最後にはDNAまで調べる流れを見ていると、結婚相談所より警視庁のほうが西尾を詳しく調べている。
ここまで調べてもらえれば安心して結婚できそうなものだが、その前に交際終了を告げられてしまうのだから世知辛い。
犯人しか知らない情報が週刊誌経由で出てくる怖さ
10年前の未解決事件が再び動き出したきっかけは、週刊誌「チェイス」の記事だった。
自称・偽造屋の古橋が、10年前に偽造免許証を作りに来た客から「梅丘で若い女を殺した」と聞いたという。
しかも男は、「女を刺したはずみに自分の右手も切った」と話し、犯行に使ったのはククリナイフだったとまで語っていた。
司法解剖では曲刀による犯行と分かっていたものの、その事実は警察から発表されていない。
つまり、犯人しか知り得ない情報だった可能性が高い。
ところが、その重要な情報源を握っているのは警察ではなく週刊誌だった。
青柳たちが出版社へ行っても、編集長も記者も取材源を明かしてくれない。
警察としては真っ先に話を聞きたい人物なのに、その相手すら分からない。
結局、情報源が古橋だと判明したのは、本人が殺害されてからだった。
10年間止まっていた事件を動かした核心情報を、警察より先に週刊誌が握っている。
最新DNA捜査とは別のところで、ずいぶん怖い状況である。
最新デジタル捜査の最後に待っていたCD-ROM人海戦術
古橋の自宅から回収された大量のCDは、実は音楽CDではなくCD-ROMだった。
しかも「ステガノグラフィー」という技術を使い、偽造免許証を依頼した顧客データが隠されていた。
画像や音声などのデジタルデータに別の情報を埋め込み、その存在自体を分かりにくくする技術だという。
FDPに続いて、またしても聞き慣れないデジタル技術が登場した。
さすがSSBC。ここから何かすごい解析を始めるのだろう。
と思ったら、大量のCD-ROMをみんなで一枚ずつ確認することになった。
結局、人海戦術である。
この光景、第2話で大量の車を一台ずつ確認していたときにも見たような気がする。
そして地道に調べ続けた結果、「中村渡」という人物を発見。それが防犯カメラに映っていた男と一致し、真犯人へたどり着いた。
FDPで顔を予測し、ステガノグラフィーまで登場した第6話。
それでも最後に事件を前へ進めたのは、人間がCD-ROMを一枚ずつ見る作業だった。
『大追跡』の最新デジタル捜査は、なぜか最後になると人間の目と根気へ帰ってくる。
八重樫、今回も「はい、決まり」
西尾が小池百音の元婚約者だったことが分かり、さらに古橋殺害事件でもアリバイを証明できなかった。
それを聞いた八重樫は、別室であっさり結論を出す。
「はーい、決まり。こいつが2人を殺しました」
今シーズン何度目か分からない、八重樫の見切り発車である。
ところが直後、西尾のDNAと10年前の事件現場に残されていた犯人のDNAが一致しないことが判明。
つまり西尾は犯人ではない。
すると八重樫は、「日本で証拠として採用されないあんなものを使って、捜査しようとしたのが間違いだ」とFDPに怒り始める。
いや、ついさっきまで「使えるものはなんでも使う」と張り切っていなかったか。
最初は「気持ち悪い」と拒否し、久世に言われれば使い始め、西尾を犯人だと決めつけ、外れたらFDPのせいにする。
最新技術以上に、八重樫の判断が目まぐるしく更新されていく。
もはや「はい、決まり」が出た瞬間、こちらとしては犯人確定ではなく「今回も違うかもしれない」と身構えるようになってきた。
まとめ|最新DNA捜査より仁科の婚活のほうが大変だった第6話
第6話ではFDPやステガノグラフィーなど、いかにもSSBCらしい最新技術が次々と登場した。
しかし振り返ってみると、いちばん印象に残ったのは仁科の婚活である。
婚活相手を結婚相談所で調べ、デートを監視し、飲み終わったコップまでDNA鑑定。
一方、真犯人へたどり着いたのは、大量のCD-ROMを一枚ずつ確認するというおなじみの人海戦術だった。
そこへ八重樫の恒例となった見切り発車まで加わり、第6話も『大追跡』らしい妙なバランスでまとまっている。
事件は無事解決したが、仁科の婚活だけは振り出しに戻った。
