『リーガルビート ~逆転の法廷~』第5話では、LGBTQ支援活動団体をめぐる名誉毀損裁判で、星の兄・信隆が被告側代理人として登場。
兄との法廷対決を通して、星の過去と事務所を辞めた理由も明らかに。
不正受給疑惑の裏に隠されていた都知事選をめぐるマッチポンプ。そして最後に星が選んだのは、兄のいる大手事務所ではなく「信頼できる仲間」がいる今の居場所だった。
今回は、星と信隆の兄弟対決を中心に、第5話で気になったところを振り返る。
第5話3行まとめ
- LGBTQ支援団体「カラーフラット」の不正受給疑惑をめぐり、星は兄・信隆と法廷で対決する
- 不正受給は、都知事選で村主を有利にするために仕組まれたマッチポンプだったことが判明
- 星は兄の事務所へ戻る誘いを断り、「信頼できる仲間がいる。ここが僕の居場所だ」と今の事務所を選んだ
第5話あらすじ
LGBTQ支援活動団体を運営する北里(森永悠希)と守谷(樋口幸平)から依頼が舞い込む。
1カ月前、動画配信者の尾口(松澤匠)らが「東京都から委託金を不正受給している」という告発動画を公開し、誹謗中傷が殺到。北里は事実無根だとして、名誉毀損で訴えたいというが、乗り気ではない守谷の様子が、泰地(鈴鹿央士)は気に掛かる。
しかも星(稲垣吾郎)の兄・信隆(田辺誠一)が被告代理人を担当することがわかり…!
星の兄・信隆との法廷対決
信隆が被告側の代理人として登場
LGBTQ支援活動団体「カラーフラット」代表・北里は、「東京都の委託金を不正受給しているという」動画を配信したオグティチャンネルの尾口を名誉毀損で訴えたいと星と泰地に依頼する。
尾口を担当するのは、雪村と星がいた古巣「スタートップ」所属の弁護士とは聞いていたが、裁判所に「久しぶりだな」といって現れたのは兄・信隆だった。
信隆はスタートップのシニアパートナーで、いちばんの稼ぎ頭だ。企業法務専門で、こうした名誉毀損案件に出てくるはずはない。違和感を持ちながらも星は法廷へ向かう。
泰地は、父と兄に認めてもらえず「透明人間」のように感じていたという星の過去を思い出し、兄との対決を少し心配する。
なぜ、兄・信隆が担当したのかは物語終盤にわかる。いつか法廷で兄弟対決があるのだろうと思っていたけれど、こんな感じの流れで兄・信隆が登場したのは自然でよかった。
「異議あり!」からが長い信隆
星は尾口に、外国人労働者への差別的な発言や女性蔑視発言で炎上し、登録者を増やした過去を指摘。その成功体験から、次の標的として性的マイノリティの中でも知名度の高い北里を狙ったのではないかと問いかける。
兄の言い分をまとめると…
- 表現者が需要を考慮し自身の表現で利益を得るのはごく自然なこと。世間が疑惑の真偽に関心があったということの証左です。十分公益性のある告発だった
- 経済活動とは往々にして誰かを犠牲にするもの。弁護士だって同じ。自分は正しいと信じて相手を攻撃して追い詰め報酬を得る。そのくせ金儲けして批判して人権派を気取っている
信隆は「異議あり!」と遮ったあとも、そのまま長々と持論を展開。裁判長もすぐには止めず、最後になってようやく双方を落ち着かせ、星に質問の仕方を変えるよう促した。
ドラマの裁判では、異議が認められればそこで話が切れることが多いだけに、今回は信隆がよくしゃべる。しかも裁判長がなかなか止めないので、兄弟対決というより信隆の独演会のようにも見えた。
楽しみにしていた兄と弟の対決シーンは、もっと兄はどっしり構えて貫禄がある感じなのかと思っていたからちょっと意外だった。
1回目の裁判は信隆が圧倒的に優勢
もともと泰地たちの証人を引き受けてくれるはずだった「カラーフラット」元スタッフ・田上。兄・信隆が買収したのか、田上は被告側の証人として会計報告書に改ざんがあると話をさせた。
兄はカラーフラットが東京都へ提出した改ざん後の会計報告書と、改ざん前の正しい会計報告書を入手していた。提出された報告書には、半年間にわたって虚偽の活動内容が記されていた。
信隆は、尾口の告発は確かな情報源に基づくもので、公共性・公益性のあるジャーナリズムの範疇だと主張。名誉毀損には当たらないとして、第1回口頭弁論は終わる。
1回目の裁判が終わると、信隆は星に「相変わらず甘いな」と声をかける。そして「親父の温情だ。うちに戻ってこい」と父親の意向を伝えながらも、自分自身は星を「無能な元部下」としか思っていないと言い、「弱小事務所で勝てる勝負だけ受けて悦に入ってるくらいなら、うちに来い」と突き放す。
会計報告書に改ざんがあったことは事実で、泰地たちはそれを知らなかった。第1回口頭弁論が終わった時点では証拠もあり被告側が圧倒的に優勢。
兄は引退を決めた父親が、星をスタートップへ戻したがっていると伝える。しかし「出来が悪くても息子は息子」「弱小事務所でくすぶらせておくことは許せないらしい」と、その言い方は戻ってきてほしい人へのものとは思えないほど辛辣。
この誘いを断るのが最後のスカッとにつながるのはなんとなく想像できたけど、こんな兄とはだれでも一緒に働きたくないよ。
星がスタートップを辞めた過去
事務所に戻り、星と泰地は会計報告書は確認したが、まさか活動実績にウソがあったとは思っても見なかった。会計報告書を管理していたのは、副代表で北里のパートナーでもある守谷だったが、現在は行方がわからなくなっていた。
雪村は兄との対決で焦る星を気にかけるが、星は北里とともに守谷を探しに向かう。残った泰地は、信隆からスタートップに戻るよう言われたことを雪村に話し、星が前の事務所を辞めた経緯を聞く。
十年前、宮野精機の事業再生を星が担当し、スポンサー企業も引き入れて交渉をまとめたが、その直後宮野精機の粉飾決算が発覚。スポンサー企業に責任を追及されて損害賠償請求を受けた。損失を出した星に対する父親やノブさんの仕打ちがひどく、星は閑職に追いやられた。
雪村はちょうど自分も独立を考えていたから一緒に辞めた。彼らにとっては稼げるかどうかがすべて。星はそれが嫌で依頼人に寄り添う弁護士になろうとした。そして泰地に「しっかりサポートしてあげて」とお願いする。
星の父親と兄が経営する弁護士事務所に星がいたことはわかっていたが、雪村も同じ事務所にいたとは知らなかった。確かに星は以前、雪村に「君が法廷に立っていた頃を思い出す」みたいなこと言っていたけど、同じ事務所を一緒のタイミングで辞めていたとは。
不正受給疑惑はマッチポンプだった
脅されていた守谷
守谷には高校時代、信頼していた友人にゲイであることを暴露され、学校へ行けなくなった過去がある。その経験から、性的マイノリティ、特にカミングアウトできずにいる人たちを守れる場所を作りたいと考え、北里とともにカラーフラットを立ち上げた。
そして思い出のある海の近くで守谷を発見。
鳥飼の店には三戸が来ており、泰地は2人が傍聴仲間だと知る。そこへ星も合流し、守谷は昨年10月ごろ、見知らぬ男からカラーフラットのメンバー全員の個人情報を、ネットにさらすと脅されていたことを打ち明ける。
性的マイノリティじゃなくても個人情報をネットにさらされるなんてとんでもない。脅された時点で守谷が1人で抱え込まず、北里や泰地たちに相談していたら良かったのに、と悔やまれる。
都知事選につながったマッチポンプ
星は今までの出来事を時系列に並べて整理すると、一連の流れができすぎていることに気付く。
- 去年10月 男が守谷さんを脅迫
- 今年3月末 東京都に虚偽の会計報告書を提出
- 今年4月末 委託金が振り込まれる
- 今年5月頭 尾口が告発動画を公開
脅迫者と尾口はグルで、脅迫で不正を作り、それを影響力のあるインフルエンサーが暴露する。告発はマッチポンプだったのではないかと疑う。
店のテレビでは、カラーフラットの不正受給疑惑によって都の監督責任が問われ、現職の猿渡知事の支持率が急落していると報じられる。一方、都知事選に立候補している地域政党「真実の党」代表・村主功は、この問題を追及して支持を伸ばしていた。
三戸いわく村主は「今回の件で一番得してる」とのこと。そして星の兄は長年、村主議員の会社の顧問を務めていて、2人は旧知の仲。星はこれが理由でカラーフラットの裁判に兄が出てきたのだと納得。週刊誌の記者である三戸はスクープの匂いを感じとり、星はなにかをひらめく。
半年以上前から不正そのものを仕込み、告発によって現職知事を失速させる。かなり手の込んだマッチポンプだった。
以前、村主と星が2人で会食していたため関係が気になっていたが、スタートップ時代からの縁があるだけで、現在は村主を怪しみ距離を置いていると分かってちょっと安心した。
三戸の張り込みで脅迫者の正体が判明
その後、三戸は1週間にわたって信隆を張り込み、村主派の都議会議員・日下部新司の私設秘書・野間と何度も会っていることを突き止め、写真に収める。
その写真を見た守谷は、野間こそ自分を脅してきた男だと証言。これによって星は、カラーフラットをおとしめた一連の工作が、村主を都知事にするためのものだったと確信する。
確かな証拠はまだ十分ではなかったが、三戸は取材を進め、後に週刊誌で村主派の議員秘書の関与を報じた。
三戸はカラーフラットの裁判で一番得をしているのは村主だと言ったり、守谷を脅した男の写真を撮ってくるなど大活躍。ドラマの中では特に描かれていないけれど、星が三戸に何かアドバイスをしていたのかもしれない。
村主当選後、信隆が和解を提案
都知事選では村主が当選。その後、事務所にやってきた信隆は「裁判の件は和解してやってもいい」と持ちかける。星の勝率100%に傷をつけたくない兄としての優しさだと言うが、実際には裁判で日下部議員の関与が争点となり、村主にまで疑惑が及ぶことを避けたいようだ。
しかし星は「自分の勝ち負けなんかどうでもいい。僕は依頼人のために戦うだけだ」ときっぱりと断る。
最初から星の兄は嫌な感じだったけれど、「和解してやってもいい」とか弟相手だととんでもなくひどい言いようだ。そもそも名誉毀損の和解って何をどうするつもりだったのか?
逆転のキーパーソンは港冴香
港を動かした星の説得
星と泰地は、尾口のアシスタント兼マネージャー・港冴香に協力を求める。港は日下部議員の秘書について何か知っている様子だったが、尾口の知名度を利用して自分も有名になりたいという思惑があり、口を閉ざした。
しかし泰地は、港の部屋に大量のキャラクターグッズがあることに気づく。
第2回口頭弁論の当日、星は港が転売禁止の商品を転売していることを指摘し、それが尾口に知られれば立場を失う可能性があると迫る。さらに、尾口と政治家の癒着を告発すれば、逆に自分が注目を集めるチャンスになると説得した。
その際、星は「透明にされる気持ちは僕にも少しわかります」と、自分自身の過去を重ねるような言葉も口にする。
星不在の法廷で追い込まれる泰地
一方、法廷では星が不在のまま、泰地が守谷は脅迫されて会計報告書を改ざんしたこと、脅したのは日下部議員の秘書・野間だったことを主張する。しかし信隆は、尾口と野間がつながっている証拠はないと反論。泰地が言葉に詰まったところで、ようやく星が法廷に現れる。
自分が有名になるために利用してる尾口が失脚したら今までの苦労が全部ムダ。そう言っていた港は、転売ヤーとして損害賠償されることよりも、尾口を踏み台にして有名になることを選んだとしてもはたしてその後の活動がうまくいくものなのか…まぁ少なくとも沈む船に乗ってる意味はないだろう。
「いくら尽くしても見えていない、透明にされる気持ちは僕にも少しわかります」という星の言葉は、自分と父と兄の今までの経験から出た言葉だと思うとせつない。
泰地は裁判の前に頭を整理するのにラップをしたが、今回は法廷なので言葉が詰まった時にもう1回ラップのシーンがあるかと思ったけれど、なかった。
隠しカメラ映像で星たちが完全勝利
星は新たな証拠を証人に示しながら質問を行うために、港が配信している動画サイトを流してもらう。
港は配信で、カラーフラットの不正受給が日下部議員側によって仕組まれたものだと告発。さらに、野間が尾口に「4月に不正受給することになってる」と事前に伝え、告発動画の配信を依頼している隠しカメラ映像を公開する。
星は野間を追い詰め、言葉に詰まった野間は兄の方を見ると、兄は首を横に振る。そして観念した野間は「私です」と言う。兄は目をつぶって下を見る。
港が配信で流した証拠映像は尾口、野間の顔がバッチリ映っていて、なおかつ音声もクリア。「4月に不正受給することになってる」っていうのが、これまたいい。もう言い逃れはできないだろう。
星が選んだ「信頼できる仲間」と自分の居場所
裁判が終わると、星は港を説得するアイデアを出したのは泰地だったと兄に明かす。そして泰地のおかげで「依頼人に寄り添う弁護士」でありたいという気持ちを思い出したと語り、スタートップへの復帰を拒否。「信頼できる仲間がいる。ここが僕の居場所だ」ときっぱり言い切った。
裁判に決定的な証拠を出して完全勝利、兄の事務所には戻りません、となんとも痛快な結末だった。
第5話を見てみて
今回の話は、性的マイノリティの支援団体が都からの委託金を不正受給をしているという話から始まり、それには東京都知事選が絡んでいて、村主を都知事にするために半年以上前から練られたマッチポンプの事件だったというひねりのある展開だった。
ここに星の兄が登場してくるのだから、盛りだくさんで忙しいが、話もテンポよく進み内容も濃く感じた。
雪村は兄と対峙する星を気にかけ、泰地にサポートを託す。泰地も尾口の動画を調べ、守谷が真相を話すきっかけを作り、さらに港を説得する突破口まで見つけるなど大活躍だった。
もちろん星も大活躍だったし、裁判の結末は痛快だが、信頼できる仲間たちの協力あってのことだったと星も分かっているところがなんとも良い。
回を増すごとに、新人弁護士・泰地が成長していくだけでなく、「依頼人に寄り添う弁護士」という気持ちを思い出させてくれる泰地は、星と雪村にとっても大切な存在になってきているように思う。
最後に泰地の友人・ムックが同僚に意地悪な事を言われて落ち込んでいるのを見た都知事・村主は、「動画チームの椋井岳くんだね?君の編集…好評だよ。努力は必ず報われる。頑張りたまえ」と声をかけ、ムックは驚きながらもちょっとうれしそう。そんなムックを村主が意味ありげな目で見ているのが、なんとも不気味。
泰地のラップシーンは前回に続き今回も1回。またいつか法廷でラップをすることはあるのだろうか?
星の話が今回だったとするなら、雪村が法廷に立たなくなった理由などがわかってくる回が今後あるのかも?どんな展開になっていくのか楽しみ。
前回の話はこちら。
→「リーガルビート」第4話 感想|「ただの事実確認です」で最低男を追い詰めた、泰地の邪道な勝ち方
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