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【虚ろな十字架】第2話感想|町村の供述に違和感、タイトルの意味が見えてきた

ドラマ感想(コラム)
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WOWOW「連続ドラマW 東野圭吾『虚ろな十字架』」第2話では、小夜子を殺害したと自首した町村の供述に、いくつもの不自然な点が浮かび上がる。

一方、中原は小夜子が生前に書きためていた原稿を読み、愛美を殺害した蛭川の弁護人・平井を訪ねることに。そこで語られたのは、死刑を前にしても最後まで罪と向き合わなかった蛭川の姿だった。

そして小夜子の言葉から、ついにタイトルにもなっている「虚ろな十字架」という言葉が登場する。

町村はなぜ小夜子を殺したのか。小夜子のカメラに残された森の写真と、仁科史也・花恵夫妻、井口沙織にはどんなつながりがあるのか。

第2話は、死刑と贖罪という重い問いをさらに掘り下げながら、新たな謎が一気に広がる回だった。

不可解な町村の犯行

第2話は、佐山刑事が小夜子を殺害して出頭した町村について、中原と話すところから始まる。

小夜子を殺害して出頭してきた男は町村作造。北千住で一人暮らしをしている。金目当てでたまたま見つけた女性を襲ったというが、殺害現場は小夜子の自宅マンション近く、江東区の木場だった。

町村は、自宅近くだと危険な気がしたため地下鉄で移動し、適当な駅で降りて獲物を探したと供述している。

さらに、奪った持ち物は現金を抜き取ったあと川に捨てたというのに、凶器の包丁だけは出頭時にも所持していた。なにより不可解なのは、なぜ小夜子を狙ったのかということ。金を持っていそうだったというが、小夜子は特に高級そうな服装をしていたわけでもない。

町村は娘の夫が医者で、経済的な援助も受けていたため、金銭的にそこまで追い詰められていたわけではなかった。

最後に佐山は、中原にばかり不幸が続くことを気の毒がる。

町村が自宅のある北千住から地下鉄に乗り、適当な駅で降りて獲物を探したというのは、佐山刑事じゃなくてもなんだか不思議。

北千住を通る地下鉄は千代田線と日比谷線だが、木場は東西線なので乗り換えが必要になる。木場は起終点駅でもない。木場ではなく新木場だとしたら有楽町線の起終点駅だが、こちらもやはり乗り換える必要がある。

適当な駅で降りるつもりだったのなら、わざわざ乗り換えて木場まで行くより、千代田線や日比谷線の途中駅で降りるほうがずっと自然だ。

バッグなどほかの荷物は川に捨てたのに、凶器の包丁を持ったまま出頭するのもやっぱり不思議。町村が小夜子を狙って殺害したことを警察に悟られたくないのだとしたら、もう少しうまくやらないと。

そして佐山が、「どうして中原さんばかりがこんな目に遭うんでしょうね」と口にする場面。さすがにひどい。こんなこと刑事が言うかね?

小夜子の一番の笑顔

中原は小夜子の葬儀に参列する。遺影の小夜子は、すごくいい笑顔をしていた。

両親によると、その写真は小夜子が遺族会でサポートしていた裁判で、死刑判決が出たときに撮ったものだという。一番の笑顔が死刑判決のときなんて……なんとも切ない。

小夜子の子どもの頃の話をしながら涙を流す父親は、中原に愛美のことを乗り越えられたのかと尋ねる。しかし中原は、「い…いえ。今もまだ…」と答える。

娘の死から11年たった今でも癒えない中原の心の傷。何をもって「乗り越えた」とするのかはわからないけれど、たぶん死ぬまで完全に癒えることはないし、乗り越えることもできないように思う。

フリーライターとしての小夜子

葬儀の帰り道、中原は小夜子の大学時代の同級生・日山と、小夜子が取材していた井口沙織に出会う。

日山はフリーライターとして活動する小夜子に仕事を依頼しており、近いうちに記事が掲載されるため、その雑誌を中原に送るという。

後日、小夜子が書いた最後の記事が掲載された「新文明」が届く。記事のテーマは「万引き依存症」。それを見た中原は、小夜子が取材していた井口沙織のことを思い出す。

日山や沙織との出会いをきっかけに、中原は自分の知らなかった小夜子の仕事や、生前どんな活動をしていたのかを少しずつ知っていくことになる。

死刑を求める両親

小夜子の母・里江と、遺族会にも参加している弁護士・山部が中原を訪ねてくる。

山部は中原に、小夜子を殺害した町村の量刑がどれくらいになると思うか尋ねる。中原は、強盗殺人なら死刑か無期懲役になる可能性があるものの、前科のない者が1人を殺害しただけでは、死刑判決は出にくいと答える。

それを聞いた里江は納得できず、自分たちは町村に死刑を求めるという。

2人は中原にも裁判への参加を頼むが、中原は「それはできない。彼女のことを何も知らないんです」と断る。

帰り際、里江は小夜子が生前、出版を目標に書きためていた原稿を中原に渡す。

中原は11年前、娘・愛美を殺した蛭川に死刑判決が下り、実際に刑が執行されても、今なお娘の死を乗り越えることができていない。

町村に死刑判決が下ったとしても、中原の心の傷が癒えるとは思えない。それはきっと、孫の愛美、そして娘の小夜子まで亡くした里江も同じなのかもしれない。

小夜子の書きためた原稿

母・里江によると、小夜子は「人を殺した者は死刑にするべきだ」と主張していたという。中原は預かった小夜子の原稿を読み始める。

そこには、死刑判決が出ても遺族の悲しみや心の傷が消えるわけではなく、死刑はあくまで悲しみを乗り越えていくための「通過点」にすぎない、という小夜子の考えが記されていた。そして、その通過点すら奪われた遺族は、どうやって生きていけばいいのかと問いかけている。

さらに読み進めた中原は、「特別インタビュー① 弁護士・平井肇さんインタビュー」という項目に目をとめる。

小夜子にとって死刑判決は、心の傷を癒やすものではなく、悲しみを乗り越えるための通過点だった。

しかし中原は、蛭川の死刑が執行された今もなお、愛美の死を乗り越えられていない。では小夜子は、ほんの少しでも悲しみを乗り越えることができていたのだろうか。

平井弁護士に会いに行く

小夜子がインタビューした弁護士・平井肇は、愛美殺害事件で蛭川の弁護を担当した人物だった。中原は平井の事務所を訪ね、小夜子とのインタビューでどんなやり取りがあったのか話を聞く。

平井は、死刑に疑問を感じるのは、それによって何かが解決するとは思えないからだと語り、蛭川について話し始める。

蛭川は死刑判決が出る前から、死刑を「刑罰」ではなく自分の運命のように受け止めるようになっていたという。裁判が長期化するにつれて諦めが強くなり、「俺、死刑でいいですよ。もう面倒なんで」と言い始めた。

さらに死刑執行の1か月前に面会した際には、刑務所で出されるデザートの話を楽しそうにする一方、被害者について尋ねても「いや…別に」と、特に考えていない様子だった。

平井は「蛭川は最後まで罪と向き合うことはなかった。死刑は無力です」と小夜子に語った。

第1話で蛭川の様子を見ていても、愛美を殺害したことを心から悔いているようにはまったく見えなかった。そのため、死刑すら面倒事のように受け止め、被害者のことも特に考えていなかったという話は、とてもしっくりくる。

ただ、平井が言うように、蛭川が最後まで罪と向き合わなかったから死刑は無力なのだろうか。仮に死ぬまで刑務所にいたとしても、蛭川が自ら罪と向き合ったとは思えない。

虚ろな十字架

平井から蛭川の話を聞いた小夜子は、最初の事件で犯人が死刑になっていれば、娘の愛美が殺されることはなかったと訴える。

「殺人犯は何年刑務所に入れておけば、真人間になるなんて誰にも分からない。それなら殺人犯をそんな虚ろな十字架に縛りつけることに、何の意味があるんですか」小夜子は、だからこそ人を殺した者は死刑にするべきだと主張した。

タイトルにもなっている「虚ろな十字架」という言葉が、ここで初めて出てきた。

一生消えない罪や苦悩を背負って生きることが「十字架を背負う」ことだとしたら、心から罪と向き合うことのない犯人に懲役という十字架を背負わせても、それは中身のない「虚ろな十字架」にすぎない、ということなのだろうか。

だから小夜子は、たとえ被害者が1人であっても、人を殺した者は死刑にするべきだと考えているのかもしれない。

カメラに残された写真と「子ども医療相談室」の冊子

小夜子の遺品の中で必要なものがあれば持っていっていいと言われ、中原はカメラの中の写真を確認する。

そこには、青木ヶ原の樹海を思わせるような薄暗い森の写真が何枚も残されていた。中原はカメラと、慶明大学病院の「子ども医療相談室」の冊子を持ち帰る。

その後、中原は慶明大学病院の公式サイトで「子ども医療相談室」を調べ、そこに掲載されていた医師・仁科史也に目をとめる。

さらに仁科について調べると、SNSでは町村の義理の息子が仁科史也だと特定され、さまざまな書き込みがされていた。

そして中原は誰かに電話をかけ、「夜分遅くにすいません中原です。私も…裁判に参加します」と一度は断っていた裁判への参加を申し出る。

佐山刑事から、町村が義理の息子から経済的な援助を受けていたと聞いていたため、中原は小夜子の遺品にあった「子ども医療相談室」の冊子と町村とのつながりが気になったのかもしれない。

ただ、なぜそれを知ったことで裁判への参加を決めたのかは、今のところわからない。

仁科史也・花恵夫婦

小夜子を殺害して出頭した町村は、花恵の父親。仁科史也と花恵の間には、息子・翔がいる。

史也と家族

仁科史也は、慶明大学病院に勤務する小児科医。

史也の母親は、殺人犯の娘となった花恵との離婚を執拗に迫る。さらに探偵事務所を使って調べた結果、翔が史也との間にできた子ではないことまで突き止めていた。

しかし史也は、翔は自分の子であり、何があっても花恵と別れるつもりはないと言い切る。すると母親は、史也がすべてを知ったうえで花恵と結婚したのではないかと気づき、青ざめる。

仁科史也は小児科医ということもあり、子どもたちには優しい笑顔で接していて、とても感じのいい先生だ。

しかし、離婚を迫る妹や母親と話すときには、とてつもなく影のある表情を見せる。次回以降はさらにシリアスな展開になっていきそうなので、史也役の赤楚衛二さんの演技も楽しみだ。

花恵との出会い

7年前、花恵は田端という男と交際し、妊娠していた。金に困っているという田端に現金を渡していたが、その後、田端は自殺。実は結婚詐欺師で、ほかにも複数の被害者がいたことがわかる。

花恵は身重のまま森へ向かい、自殺しようとする。そこに史也が現れ、花恵は思いとどまった。

おそらく、7年前に花恵が妊娠していた子どもが翔なのだろう。つまり史也は、翔が自分の実子ではないことを最初から知ったうえで花恵と結婚し、父親になったのだと思う。

そして印象的だったのが、花恵と史也が出会った森。小夜子のカメラに残されていた森の写真と、そっくりだった。

井口沙織の部屋

薄暗い部屋でタバコを吸う沙織は、やつれていて不健康そうに見える。壁には森の写真が飾られ、その下の机には花やろうそく、天使のような置物が置かれており、まるで簡易的な祭壇のようだった。

回想シーンでは、沙織がその森で泣いている。そばにいた小夜子は写真を撮りながら、「これできっと…あなたは生まれ変われる」と沙織に語りかける。

沙織の部屋に飾られているのは、そのとき小夜子が撮った写真なのだと思う。そしてその森は、花恵が自殺しようとして史也と出会った場所ともよく似ている

「生まれ変われる」という言葉からすると、沙織にも過去に何か後ろめたいことがあるのだろう。

さらに、沙織の左腕にリストカットの傷痕が何本もあったのが、なんとも痛々しい。

まとめ|“虚ろな十字架”の意味が見えてきた第2話

第2話は、第1話にも増していろんな情報が出てきて忙しい展開だった。そして明らかになった事実は、やはり暗く重い。

町村はなぜ小夜子を殺害し、凶器を持ったまま出頭したのか。今の段階ではわからないが、小夜子が花恵たち家族の秘密を知り、それを守るために殺した可能性もあるのだろうか。

ただ、もしそうだとしたら、結果的に花恵は「殺人犯の娘」、翔は「殺人犯の孫」になってしまった。これでは家族を守ったことにはならないような気もする。

一番印象に残ったのは、平井弁護士が語った、愛美を殺害した蛭川の話だった。

罪に向き合おうとしない犯罪者に、心から罪と向き合えと言ったところで、本当に向き合えるものなのだろうか。そもそも、それは誰かに言われてすることなのかとも思う。死刑では罪と向き合えなかった人間が、無期懲役なら向き合えるのかという疑問も残る。

十字架は自ら背負うもの。「虚ろな十字架」は誰かに背負わされるものなのかもしれない。

さらに気になるのが、沙織の部屋に飾られていた森の写真。小夜子が撮影したものと思われるが、7年前に史也と花恵が出会った森ともよく似ている。

町村の犯行、小夜子が追っていたもの、そして仁科家と沙織をつなぐ森。この先もさらに重い話になっていきそうだと思いながら、次回を待つ。

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