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【リーガルビート】第7話感想|合理的配慮を1人に任せるのは無理がある

ドラマ感想(コラム)
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『リーガルビート ~逆転の法廷~』第7話では、ASDの研究員・宮内琴美が、研究用マウスを全滅させたとして3000万円の損害賠償を請求される。

琴美は職場に合理的配慮を求めていたが、調べていくうちに、その対応を教育係の奥寺1人に任せていた研究室の体制が見えてきた。

琴美に罪を着せた奥寺の行為はもちろん悪い。しかし、合理的配慮を誰か1人に背負わせるやり方にも無理があったように思う。

今回は、そんな合理的配慮の難しさと、泰地が語った「平等と公平」について考えたくなる回だった。

第7話3行まとめ

  • ASDの研究員・宮内琴美が、研究用マウスを全滅させたとして3000万円の損害賠償を請求される
  • 真相は、教育係の奥寺が自分のミスを隠すため、マウスを入れ替えて琴美に罪を着せていた
  • 泰地は、合理的配慮を奥寺1人に任せた研究室の体制にも問題があったと指摘する

「私ASDなんです」合理的配慮を求めていた宮内

泰地が「あなたの『個性』を生かしませんか? カフェスタッフ募集(アルバイト)」という張り紙を見ていると、突然それを剥がす女性が現れる。驚いた泰地は、その女性・宮内琴美と一緒に張り紙を貼り直し、なぜこんなことをしたのか尋ねた。

宮内は、「全部受け入れますよ、みたいな言い方がなんだか許せませんでした。この個性っていう中に私のことは入れてくれない」と話す。

雪村法律事務所で事情を聞くと、宮内は研究センターで研究員として働いていたが、飼育室の室温自動調整システムを入れ忘れ、研究用のマウスを全滅させてしまったという。研究内容を早口で説明し続けた宮内は、「あ、すみません。私ASDなんです」と打ち明ける。

ASDは自閉スペクトラム症。社会的なコミュニケーションの困難さや感覚過敏などの特性が見られることがあり、その現れ方や困りごとは人によって異なる。宮内はすぐにミスを認めて謝罪したものの研究センターを解雇され、さらに親会社から3000万円の損害賠償を請求されていた。

宮内はASDであることを室長の笹倉に伝えたうえで、「感覚過敏によるイヤホンの装着や照明の変更」「指示や優先順位の明確化」「口頭ではなくメールなどでの文書化」といった配慮を求めており、研究室側も対応していた模様。

しかし、その配慮が本当に十分だったのか。ミスを誘発するような環境要因があれば、損害賠償を大幅に減額できる可能性があるとして、星たちは研究室について調べることになる。

そもそも研究室は、ASDだと分かったうえでなぜ宮内を採用したのだろう。研究者としてそれだけ評価されるものがあったということなのかな?

また「指示や優先順位を明確にする」「口頭だけでなく文書でも伝える」といった配慮は、ASDに限らず一緒に働く人たちにとっても助かることのような気がする。

飼育室に金をかけない研究室

星と泰地は、宮内が勤めていた研究センターへ。教育係を務めていた奥寺省吾に話を聞く。

奥寺によると、研究用マウスは温度や湿度、エサの成分など、飼育環境を一定に保つ必要があり、エサやりなどの管理も研究室内でシフトを組んで行っていた。

しかし飼育室は、長らく使っていなかった部屋を無理やり転用したもの。室温の自動調整システムも後付けで、PCから管理していた。

退出時にはいったんエアコンを切り、そのうえで自動調整システムをオンにしておけば、室温の上昇を感知して必要に応じてエアコンが作動する仕組みだったという。宮内はエアコンを切ったあと、このシステムをオンにし忘れたため、マウスを全滅させてしまったとされていた。

ただ、ここはどうにも引っかかる。

研究データを取るうえで重要なマウスで、しかも温度や湿度を厳密に管理する必要があるなら、365日24時間、自動で管理できる設備を最初から整えておくべきではないのだろうか。

わざわざエアコンを一度切り、そのあと別のシステムを手動でオンにする。そんなミスが起きやすそうな仕組みにしていること自体、かなり不思議だった。

疑惑の室長・笹倉

奥寺によると、笹倉室長の研究は思うような成果が出ておらず、このままでは研究費の減額も避けられない状況だったという。

ところが宮内が辞めた直後、親会社の重役の娘・神田祥子が研究室に入り、研究費の増額が決まった。

さらに元同僚の松井桜子は、親会社肝いりの研究がうまくいかなければ笹倉は室長を降ろされる可能性があったため、今回の件で研究が頓挫したことは、笹倉にとってむしろ都合がよかったのではないかと話す。

他の研究員からも、宮内と笹倉は相性が悪かったという証言が出てきた。

ここまで来ると、宮内のミスによって一番助かった笹倉が怪しいのではないか、とかなり分かりやすく誘導される。

ただ、さすがにそんな簡単な話ではないようで……。

慰霊祭でラップ?

泰地たちは、宮内は本当にミスをしたのか疑い始める。笹倉に話を聞き、防犯カメラの映像や飼育室の自動調整システムのログも確認するが、決定的な証拠は見つからない。

そんな中、泰地は宮内とともに、研究で使用した実験動物を供養する慰霊祭へ参加する。

そこで宮内は、自分のミスで死んだとされるマウスたちは、発見されたとき「みんな小さくなっていた」と話す。

亡くなった実験動物は冷凍保存され、3か月ごとに業者へ引き渡されていた。宮内が全滅させたとされるマウスもまだ残っており、慰霊祭のあとに回収される予定だった。

僧侶の読経が始まり、泰地は目を閉じてこれまで調べてきたことを思い返す。そして突然目を開けると、ラップが始まった。

ラップを終えた泰地は、「僕は間違ってたのかもしれません。あの中のマウス、解凍しないといけません」と言う。

映像だけ見ると、慰霊祭で僧侶がお経をあげている最中に、ヘッドホンもなしで泰地が突然ラップを始めたように見える。

さすがに実際にその場でラップしていたらまずそうなので、泰地の頭の中で考えていたことをラップとして映像化した、ということなのかな。

法廷に立つのは泰地1人

交配研究用マウス死亡に基づく損害賠償請求訴訟が始まる。

これまで泰地が法廷に立つときは星が一緒にいることがほとんどだったが、今回は泰地1人。星も一緒に調べていたのでいないのは少し不自然で、雪村も傍聴席にはいない。しかし鳥飼と三戸は、傍聴席から泰地を見守っていた。

泰地は奥寺への証人尋問で、集めた証拠を次々と示していく。

まず、研究で記録されていたマウスのDNAデータと、宮内のミスで死んだとされるマウスのDNAを解析して比較したところ、親子関係がまったく一致しなかった。

つまり、死んでいたマウスは研究に使われていた個体ではなく、別のマウスと入れ替えられていた。

さらに防犯カメラには、マウスが死ぬ2日前、奥寺が大きな荷物を持って飼育室へ入る姿が映っていた。

研究所へマウスを納入している業者を調べると、奥寺が個人的にマウスを注文し、その日の夜に直接受け取っていたことも判明。泰地は、そのときの納品書まで証拠として示す。

奥寺は自分のミスで研究用マウスを死なせてしまい、それを隠すために新しいマウスと入れ替えた。しかし、このままでは後の解析でバレてしまう。そこで宮内に1日世話をさせたあと、アプリから遠隔操作で自動調整システムを切り、再びマウスを死なせて宮内のミスに見せかけた。

泰地がそう指摘すると、奥寺は必死に否定する。

泰地は、宮内の「死んだマウスはみんな小さくなっていた」という言葉から、マウスが入れ替えられていた可能性に気づいたらしい。

そこからどうやって一つひとつ証拠を集めたのかはほとんど描かれず、裁判でこちらも一緒に真相を知ることになるのだけれど、いつもながら鮮やかで痛快だった。

「普通じゃないやつのために」奥寺が抱えていた不満

追い詰められた奥寺は、「だってズルいでしょ」と本音をぶつける。

これまで宮内はさまざまな配慮を受けてきたのに、自分は何もしていないのになぜ割を食わなくてはいけないのか。そして最後には、「こんな普通じゃないやつのために!」と言ってしまう。

その言葉を聞いた宮内は、「普通じゃない……」と動揺する。

泰地もまた、吃音があることでこれまで自分が言われてきたことを思い出し、うまく言葉が出てこない。

すると場面はいきなり夜の事務所の屋上へ。泰地の目の前には奥寺がいて、ここから久しぶりの法廷ラップが始まる。途中で映像は法廷へ戻り、奥寺はしばらく聞いたあと、「もうやめてくれ。そんなの分かってる。僕だって……。最後まで優しくしたかった」とラップを遮った。

奥寺は笹倉から、ASDの宮内を教育係としてサポートするよう一任されていたという。一緒に働く仲間として支えようとしていたものの、宮内への配慮で何度も仕事の手が止まり、その遅れを取り戻そうと急いだ結果、自分がミスをしてしまった。

そして次第に、「全部彼女のせいだ」と思うようになっていた。

もちろん、宮内に罪を着せた奥寺が悪い。それは間違いない。

ただ、ASDへの配慮を奥寺1人に任せていたことについては、さすがに気の毒なところもある。奥寺自身は頑張ればどうにかなると思っていたのかもしれないが、専門家でもない1人の教育係に任せきりでは、早かれ遅かれどこかに無理が出たように思う。

それにしても、久しぶりの法廷ラップはちょっと不思議な感じだった。

ドラマだからと言ってしまえばそれまでだけれど、実際の法廷で突然ラップが始まったら、かなりびっくりして話が頭に入ってこなさそうだ。

今回は奥寺が「もうやめてくれ」と途中で遮ったが、そういえば今まで裁判長も相手側の弁護士も、泰地のラップを止めたことはなかった。

負担を強いた組織の体制

「全部彼女のせいだって思った」と話す奥寺に、泰地は「それは違います」と返す。

奥寺を追い詰めたのは宮内ではなく、1人に負担を強いた組織の体制や、そのやり方だった。

合理的配慮は一方的に誰かが支えるものではなく、本人と職場が互いに話し合いながら、職場側にも過度な負担がかからない範囲で調整していく必要がある。

今回の問題の本質は、そのための対話を怠り、宮内への配慮を教育係の奥寺にほとんど丸投げしていたことにあった。

それを聞いた奥寺は涙を流し、宮内は「私、失敗してなかったんだ……」と安堵する。

宮内を研究員として採用した経緯までは分からない。ただ、必要な体制を十分に整えないまま、合理的配慮を奥寺1人に任せていたのは、やはり無理があったのだと思う。

宮内への配慮が必要だったことと、その負担を奥寺1人に背負わせてよかったかどうかは、まったく別の話なのだろう。

平等と公平

裁判後、雪村、星、泰地は鳥飼の店へ。

奥寺は結局訴えられることになったが、笹倉は今回の発端には、宮内への配慮を奥寺1人に押しつけた自分の責任もあるとかけあっているという。そして宮内は職場に戻り、元気に働いていた。

鳥飼がお祝いの特製チキンピザを持ってくると、雪村は「今回みたいな件は実際難しいところよね」と話す。

1人への集中的な配慮は、周囲から見れば不平等だと思われる可能性もある。星もそれに同意する。

すると泰地は、ピザを3等分するのが「平等」で、お腹をすかせた人がいればその人に多く分けるのが「公平」だと説明する。

そして、人と人が生きていくときに必要なのは、この公平さなのだと語った。

泰地の言うことはすばらしいし、かっこいい。

ただ、現実には雪村の言うように、1人への集中的な配慮は簡単ではないようにも思う。

組織にも、そこで働く人たちにも余裕がなければ、その配慮の負担が結局どこかの誰かに集中してしまう。

今回の奥寺を見ていると、公平にするためには、配慮を受ける側だけでなく、その配慮を支える側の負担まで考える必要があるのだろう。

まとめ|合理的配慮は誰か1人に背負わせるものではない

第7話は、ASDの宮内が研究用マウスを全滅させたとして解雇され、損害賠償まで請求されるも、実は教育係の奥寺が自分のミスを隠すため、宮内に罪を着せていたという話だった。

もちろん奥寺のしたことは悪い。ただ、宮内への合理的配慮を奥寺1人に任せ、負担が集中していた研究室の体制にも無理があったと思う。泰地が最後に語った「平等と公平」も含めて、配慮することだけでなく、その配慮を誰がどう支えるのかまで考えさせられる回だった。

一方で、今回は泰地のラップが久しぶりに2回登場。慰霊祭ではおそらく頭の中、そして法廷では実際に披露していたが、久しぶりの法廷ラップはちょっと不思議な感じもした。裁判長や相手側の弁護士は、毎回どんな気持ちで聞いているんだろう。

そしてラストでは、毎話恒例だったムックと村主のやり取りではなく、倒れた男のそばにムックがいるという驚きの展開に。

次回はいよいよ泰地がムックの弁護人になるのか。事件に村主も関係しているのか、続きが気になる。

前回の話はこちら。

→【リーガルビート】第6話感想|幼なじみを助けるため雪村が法廷に立つ!

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