日本版『怪物』第8話と、オリジナル韓国版『怪物』の第11話・第12話を見てみた、姉です。
日本版は全10話、韓国版は全16話。
今回は日本版第8話が、韓国版第11話「締める」と第12話「ほどく」にほぼ対応する内容になっている。
日本版第8話は約46分。
韓国版は第11話が約1時間3分、第12話が約1時間7分なので、合計約130分。
今回もかなり大胆に圧縮されている。
大きな事件の流れは日本版でも十分追えるけれど、ここまで見比べてくると、登場人物の細かな描写や事件の重みは韓国版のほうがかなり強く感じるようになってきた。
以下、少しネタバレを含みます。
妹の指はいつ切断されたのか
今回、富樫/ドンシクの妹が連続殺人犯から逃げる場面が描かれる。
ここで気になったのが、指を切断されたタイミング。
日本版では、犯人の車から逃げ出す時点ですでに指を切断されているように見える。
ただ、ほとんど映らないので、
「この時点でもう切られているのかな?」
と少しわかりにくい。
一方、韓国版ではアップで見せるわけではないけれど、
「あ、この時にはもう指を切断されている」
とわかる程度には映る。
これによって、連続殺人犯が被害者を殺害したあとではなく、生きているうちに指を切断していたこともわかる。
かなり残酷な事実だけれど、事件の異常性を理解するうえでは、韓国版の見せ方のほうがわかりやすかった。
田所の母、隠蔽の仕方がかなり雑
日本版では、署長の通話履歴を調べると、田所加代へ何度も電話をかけていたことがすぐにわかる。
さらに、署長の妻へ定期的に金を振り込んでいた。
しかも自分の会社名義。
「そんなに簡単にたどれる形で残す?」
と思ってしまった。
25年間も秘密を守ろうとしていたわりには、かなり堂々と証拠を残している。
一方、韓国版のジョンジェの母はもっと用心深い。
連絡には“とばし携帯”を使っていて、通話履歴の番号が誰のものなのかを突き止めるだけでも一苦労。
周囲が一芝居打って確認する必要がある。
秘密を守ろうとしている人物としては、韓国版のほうがずっと周到に見えた。
母親が隠した証拠そのものも違う
息子を守るために母親が証拠を隠すという大きな構図は共通している。
ただし、隠したものは違う。
日本版では、富樫の妹が亡くなった夜、息子と妹が会っていたことを示す防犯カメラ映像を署長に頼んでもみ消してもらう。
一方、韓国版では、最初に葦原で見つかった遺体の近くに落ちていたドンシクのギターピックから、ジョンジェの指紋が検出される。
その鑑定書を母親が処分する。
どちらも息子を守るための隠蔽。
でも韓国版は、事件初期から出ていた証拠が後からつながってくるので、個人的にはこちらのほうが、
「ここにつながるのか」
という納得感があった。
中橋とイ・チャンジンはかなり雰囲気が違う
日本版の「中橋建設」社長・中橋陽平と、韓国版の「JL建設」代表イ・チャンジン。
同じポジションにあたる人物だけれど、かなり印象が違う。
日本版の中橋は比較的落ち着いている。
感情をあまり表に出さず、何を考えているのかわからないタイプ。
一方、韓国版のイ・チャンジンはすぐ感情的になる。
怒る。
凶暴になる。
かなり危ない人物に見える。
韓国版は以前から登場人物の感情表現が激しいと感じていたけれど、この2人を比べてもその違いがよくわかる。
杖をついているのに犯行時は普通に歩く
中橋とイ・チャンジンには共通点もある。
2人とも普段は足が悪そうで、杖を使って歩いている。
ところが、ある場面になると普通にスタスタ歩く。
「あれ、足悪くないじゃん」
となる。
つまり、普段の姿は演技だったということ。
今のところ周囲にはまだ気づかれていない。
この設定がこの先どう効いてくるのかも気になる。
ジュウォンは変わったけれど八代はまだ変わらない
前回から韓国版のジュウォンはかなり変化している。
3か月休職したあと復職し、服装も以前のようなスーツ一辺倒ではなくなった。
車も青いスポーツカーから黒いSUVタイプへ変更。
性格も以前より少し柔軟で、相手を利用するような狡猾さまで見える。
一方、日本版の八代は今もビシッとスーツ。
車も青いスポーツカーのまま。
監察に呼ばれ、おとり捜査の件をすべて話していたけれど、その後どうなったのかも今回ほとんど触れられない。
処分はなかったのか。
何かあったけれど省かれているのか。
ここは日本版の圧縮によって人物の変化が見えにくくなっている部分だと思う。
やっぱり気になる地下室の壁
前回から気になっている富樫家の地下室。
妹の遺体が発見された壁だけ、どうしても周囲と素材が違って見える。
周りはコンクリート打ちっぱなしのような壁。
ところが妹が隠されていた部分だけ、かなり薄く見える。
「ここだけ後から作りました」
という感じが強い。
重要な場面だっただけに、どうしても目についてしまう。
韓国版はこのあたりのセットも自然だったので、両方見比べると余計に差を感じた。
日本版はテンポ、韓国版は人物の積み重ね
ここまで8話分見比べてきて、両作品の違いはかなりはっきりしてきた。
日本版は、とにかくテンポがいい。
韓国版2話分、ときには3話分を1話へ凝縮しても、大筋はかなり自然につながっている。
これはすごいと思う。
一方で、その代わりに削られているのが人物の積み重ね。
誰と誰がどれくらい親しいのか。
事件によって人物がどう変化したのか。
その人がなぜそういう行動を取るのか。
韓国版では時間をかけて描かれている部分が、日本版ではどうしても薄くなる。
だから事件の流れだけを見るなら日本版はかなり見やすい。
でも人物の感情や事件の重さを味わうなら、韓国版のほうが今のところ上に感じる。
両方見るなら日本版から韓国版がいいかも
個人的には、両方見るなら日本版から先に見るほうがいい気がしている。
まず日本版でテンポよく事件の大筋を見る。
そのあと韓国版を見ると、
「ここは本当はこういう流れだったのか」
「この人物にはこんな背景があったのか」
と、物語を補完するように楽しめる。
逆に韓国版を先に見ると、日本版でかなり削られている部分が気になってしまうかもしれない。
ここまで両方見続けてきたからこそ、そんな見方もありだと思えてきた。
まとめ|25年前の事件を隠した人たちが少しずつ見えてきた
日本版『怪物』第8話と韓国版第11・12話では、25年前/20年前の事件をめぐる人物たちの行動がかなり見えてきた。
連続殺人犯を自殺へ追いやった人物。
署長/所長を殺害した人物。
そして富樫/ドンシクの妹の死につながる事故を起こした人物。
ひとつずつ真相へ近づいている。
今回も、日本版は約46分でかなりテンポよく進み、韓国版は約130分を使って人物や隠蔽の過程まで細かく描いていた。
個人的には、田所/ジョンジェの母親の隠蔽方法や、妹の指がすでに切断されていたことの見せ方など、今回は韓国版のほうが納得しやすい部分が多かった。
日本版は残り2話。
ここまで散らばっていた25年前の事件が、どうひとつにつながっていくのか楽しみに見てみようと思う。

