池井戸作品はあまり見ないけれど、『かばん屋の相続』は全4話で1話完結というので見てみた、姉です。
第1話「十年目のクリスマス」は、10年前に倒産した会社の元社長を追う銀行員の話。
第2話「芥のごとく」は、資金繰りに苦しむ町工場の女性社長を新人銀行員が支えようとする話。
どちらも銀行員と中小企業をめぐる物語だけれど、描かれている苦悩や結末の味わいはかなり違う。
今回は第1話・第2話について、少しネタバレを含みながら、2つの銀行ドラマを続けて見て感じたことを書いていきます。
第1話「十年目のクリスマス」
ちょっとネタバレ
この話は、10年前に会社が倒産し、自己破産して一文無しになった神室電機の元社長・神室彦一が、高級スーツを着て宝石店に客として出入りし、高級車に乗っているところから始まる。
それを不思議に思ったのが、10年前に神室電機の融資を担当していた銀行員・永島。永島は神室の過去、そして現在について調べていく。
そして、今の神室があるのは“秘密の火災保険の保険金を受け取ったからではないか?”という推測を本人に伝える。
神室も、支店長と融資課長に復讐したことを概ね認める。
それでも永島は神室を咎めることなく握手を求め、満足げにその場を去る……といった感じ。
上川隆也さんがとても良かった
神室は銀行の支店長と融資課長の5億の設備投資の口車に乗った時点で、この先自分の会社がこれ以上立ち行かなくなった時のために、コンサルティング料という名目で実は火災保険をかけていて、受け取った保険金は隠し口座に入れ、その金を新しい会社の資本金にして筆頭株主となり、その会社は今や優良企業ということなのだけれど……。
10年前、新たな融資をしてもらえないことがわかった後に起きた神室電機の火災のあと、警察に話をしに行く社長の神室を永島は呼び止め、神室は半分振り返り少し口角を上げてうっすら笑うシーンは、この話の中で一番印象に残る。さすがは上川隆也さん、とても良かった。
調子の良いことを言って巨額の設備投資に踏み切らせ、困った時にはしらを切る銀行の支店長・融資課長に復讐するため、神室は万が一の時のために用意していた秘密の火災保険がある状態で、火災を起こし計画を実行したということだった……とわかると、それまでの神室の言っていた言葉の奥に隠れた本当の意味がわかってきて面白い。
主演となるのは銀行員・永島の町田啓太さんなのかもしれないけれど、神室を演じている上川隆也さんがとても良いし、一番印象に残る。
「隠し口座」とかばれないものなのか?と不思議に思うことはあるけれど、永島が神室を咎めることなく、最後に握手を求め、それに神室も応えるという終わり方は良かった。
いつの時代設定の話か正確にはわからないけれど、皆ガラケーを使っていて、銀行の看板や備品のファイルなどところどころに「赤」が使われていたのが印象的な面白い話だった。
第2話「芥のごとく」
ちょっとネタバレ
この話では結局、社長の年子は街金などにも手を出し、会社存続のため資金調達をしてきたが、いよいよ銀行へ支払いできなくなり年子は逃げる。
その1年後、山田に連絡してきた姪の祐子は、自分の父親(年子の弟)が知人の連帯保証人になり多額の借金をし、それを年子が肩代わりし返済はできたが、それが会社の経営が行き詰まる大きな原因だったことを伝え、脳梗塞で倒れリハビリ中の年子に山田が会いに行く、という話。
年子はなぜそこまで会社を続けたかったのか
毎月の支払いのために資金調達に奔走している年子を見ていると、そんな思いをしてまで会社を続けたいと思う気持ちが痛々しく、街金から借りる前に区切りをつけようとは思えなかったのかと見ていて思ったけれど、なかなかそういうわけにはいかないものなのかな……とも思ったりした。
そんな頑張っていた社長の年子には申し訳ないけれど、弟が知人の連帯保証人になっちゃったっていうのはともかく、それを姉の年子が肩代わりして返済はしたけれど、そのせいで自分の会社が傾き最後はどうにもならなくなって逃げるって……まさに本末転倒。
弟は“連帯保証人”になった自分を呪い、自己破産してでも自分で責任取るべきじゃなかったのでは?
「救える会社ばかりじゃない」がせつない
山田と斉藤課長がもぬけの殻の年子の会社を後にした帰り道の会話がせつない。
山田は、あれだけ必死に頑張っていたのにと嘆く。
それに対して斉藤課長は、自分を責めるな、救える会社ばかりではなく、淘汰される会社もあると話す。
そして最後に、必死で生きようとしてきた年子について、
「それが俺たちが相手にしている中小企業ってやつだ」
と言う。
最後は1年後に年子の姪に年子が脳梗塞で倒れて……という話を聞き、多分右半身に後遺症が残り頑張ってリハビリをしている年子のところに山田は会いに行くのだけれど、いろんな所から借金をして逃げた年子は借金はどうしたのだろう?自己破産とかで返さなくてもよくなったのかな?その辺のことについては触れられていないのでよくわからない。
こちらの話もいつの時代設定の話か正確にはわからないけれど、皆ガラケーを使っていて、年子の使っていた水筒?マグボトル?のデザインが可愛らしいこと、銀行の看板や備品のファイルなどところどころに「緑」が使われていたのが印象的な話だった。
第1話と第2話を見てみて
同じ日の夜10時から第1話、11時から第2話と続けて2つの話が配信されたので、自然と2つを比べてしまう。
ちょっと酷だけれど、断然面白かったのは第1話「十年目のクリスマス」。
上川隆也さんをはじめキャストのみなさんも良かったし、結末を含め話が面白い。
実はこの記事を書いている時点で筆者は翌日に配信された第3話・第4話も見ている。
第3話・第4話の感想、全4話の中でどの話が面白かったか、など明日にでも少し書きたいと思う。
