先週に続き、WOWOW 連続ドラマW『1972 渚の螢火』第3話を見てみた、姉です。
原作は坂上泉さんの同名小説。本土復帰目前の1972年の沖縄で起きた100万ドル強奪事件を追うクライムサスペンス。
第3話では、会員制高級サロン「サザンクロス」の影のオーナーが、沖縄政財界の重鎮・川平朝雄(沢村一樹さん)だと判明。
さらに、現金強奪事件の容疑者・宮里武男(嘉島陸さん)と接触していると思われる伊波正美(MAAKIIIさん)を張り込んだことで、真栄田たちは宮里ギャングのアジトへたどり着く。
そこで川平がアジトへ入るところを目撃。
その直後、ガスマスクを着け、機関銃で武装した4人組がアジトを襲撃する。
今回は現金強奪事件がかなり動き、19年前に起きた事件とのつながりも見えてきた。
原作小説は未読なので、少しネタバレを含む感想と気になったことを書いていきます。
川平とオーガスト・ミラーは何を約束している?
日本銀行那覇支店の開設式典で、川平は19年ぶりに沖縄へ来たというオーガスト・ミラーと再会する。
ミラーは沖縄について「食事も人も、特に女性も昔のままだ」というようなことを言いながら、「例の件」がどうなっているのか川平へ確認。
川平は約束は必ず守ると答える。
この「例の件」が何なのかはまだわからない。
そして気になるのは、式典に来ていたミラーを見つけた琉球警察本部長・座間味と刑事部長・喜屋武が、明らかに様子をうかがっていること。
この2人は、これまで娼婦連続殺人事件の捜査を止めている。
となると、
「ミラーは娼婦殺人事件に関係しているのでは?」
と思ってしまう。
19年ぶりに沖縄へ来たというのも妙に引っかかる。
新里が感じる「本土復帰して本当にいいのか」
真栄田と新里愛子(清島千楓さん)が2人で張り込みをしている時の会話が興味深かった。
新里の両親はずっと米軍基地の中で働いてきた。
周囲にも同じような家庭が多く、新里自身もアメリカに憧れて育った。
でも本土復帰によって、両親や友人たちが仕事を失うのではないかと心配している。
だから頭では日本へ復帰することを理解していても、
「本当にいいことなのかわからない」
という複雑な気持ちがある。
沖縄の本土復帰というと、つい「日本に戻る=良いこと」と単純に考えてしまう。
でも実際にそこで生活していた人にとっては、仕事や暮らしそのものが変わる。
当然、全員が同じ気持ちだったわけではないのだと思う。
真栄田はどこへ行っても“よそ者”になる
そんな新里に対して、真栄田は直接答える代わりに、自分自身の話をする。
石垣から沖縄本島へ来れば「いぇーまんちゅ」と呼ばれる。
本土へ行けば「うちなーんちゅ」と見られる。
そして沖縄へ戻れば今度は「ないちゃー」と言われる。
どこへ行っても少しずつ“よそ者”。
「本当に忙しい」という真栄田の言葉が印象に残った。
第1話では「返還」ではなく「復帰」という言葉へのこだわりがあった。
今回はさらに、沖縄の中でも立場によって見え方が違うことが描かれる。
ただ今回も沖縄の言葉がたくさん出てきて、意味がよくわからないものもあった。
もうなんとなくで見ることにしているけれど、真栄田のこの場面は気になったので、あとから意味を調べた。
「コザ騒動」と与那覇の過去
与那覇が、以前付き合っていた女性と別れた理由を真栄田へ話す場面で出てくるのが「コザ騒動」。
1970年12月、米軍人による交通事故をきっかけに、コザ市で米軍車両などが焼かれる騒動が起きた。
警察官だった与那覇は、騒動を鎮圧する側として現場へ出る。
そこで群衆の中にいた恋人と顔を合わせてしまう。
恋人から、
「どっちの味方なの?」
と問われる。
沖縄の人間なのに、なぜこちらを止めるのか。
与那覇は答えられなかった。
自分はいったい何を守っているのかわからなくなったという。
警察官としては秩序を守らなければならない。
でも沖縄の人間としては、米軍統治への怒りも理解できる。
その板挟み。
ドラマの中で当時の沖縄の状況を少しずつ知ることができるけれど、知らないことが本当に多い。
見たあとに調べることも多く、そういう意味でも勉強になるドラマだと思う。
宮里の姉が殺されたのは19年前
宮里ギャングのアジトでは、宮里武男たちが亡くなった姉・シズを偲んで紙を燃やす。
前回の清明祭を思わせる場面。
シズが亡くなったのは1953年5月。
現在は1972年なので、ちょうど19年前。
ここで、
「19年前?」
と引っかかる。
今回、19年ぶりに沖縄へ来た人物がもうひとりいる。
オーガスト・ミラー。
偶然とは思いにくい。
武装した4人がアジトを襲撃
宮里、正美、川平たちがアジトにいるところへ、武装した4人組が襲撃してくる。
これがかなり本格的。
ガスマスク。
機関銃。
催涙ガス。
迷いなく撃ちまくる。
普通のチンピラには見えない。
かなり訓練された人間たちという感じ。
日本人なのか、米軍関係者なのかはわからない。
宮里の仲間のひとりは、襲撃してきた男を抱え込んだまま手榴弾で自爆する。
真栄田、与那覇、比嘉も拳銃を持ってアジトへ向かうが、間に合わない。
宮里は100万ドルを持って正美と逃走。
そして、なぜか川平はほぼ無傷で残っている。
これはかなり怪しい。
襲撃も川平が仕組んでいた?
川平は高級会員制サロン「サザンクロス」の影のオーナー。
現金輸送ルートを聞き出すため、銀行員・西銘を美人局に引っかけるきっかけを作ったのも「サザンクロス」だった。
となると、100万ドル強奪事件の裏で動いているのは川平と考えるのが自然。
そして今回の襲撃。
宮里自身は、襲撃されることを知らなかったように見える。
でも川平はほぼ無傷。
もしかすると、この襲撃まで最初から川平が計画していたのでは?
仲間を消すためなのか。
100万ドルを奪い返すためなのか。
それとも別の目的があるのか。
警察がアジトを見張っていたことだけは想定外だったのかもしれない。
19年前の“青年”は川平?
宮里の姉が殺された19年前の事件現場。
警察の制止を振り切り、弟の宮里武男とひとりの「青年」が駆けつける。
この青年、どうやら川平っぽい。
もしそうなら、川平は宮里の姉・シズとかなり近い関係だったことになる。
恋人だったのか。
それとも別の関係なのか。
そしてその現場には、現在の琉球警察本部長・座間味と刑事部長・喜屋武もいた。
19年前の事件を知る人たちが、現在の事件でもそれぞれ重要な位置にいる。
偶然ではなさそう。
ミラーが宮里の姉を殺した犯人?
ここからは完全に勝手な想像。
19年前に宮里の姉・シズが殺された。
同じ19年前を最後に沖縄を離れていたミラーが、今になって戻ってきた。
当時、事件現場に川平、宮里、座間味、喜屋武がいた。
さらに現在、座間味と喜屋武は娼婦連続殺人事件の捜査を止め、ミラーを警戒している。
となると、
ミラーが19年前のシズ殺害にも関係している?
そして現在の娼婦連続殺人事件の犯人もミラー?
もしそうなら、川平と宮里はミラーへ復讐しようとしているのかもしれない。
では100万ドル強奪事件は何なのか。
ミラーをアメリカ本土から沖縄へ呼び寄せるためのエサだったりするのか?
かなり強引な想像だけれど、19年という数字が妙に合うので気になる。
東京と沖縄の温度差
今回もうひとつ印象に残ったのが、東京へ戻っている真栄田の妻との電話。
妻は、東京では沖縄復帰のニュースにそれほど長い時間が割かれておらず、
「復帰10日前」
という実感もあまりないと話す。
真栄田は「そうか…」と答える。
沖縄では生活も政治も何もかもが大きく変わろうとしている。
でも本土では、それほど大きな関心を持たれていない。
この温度差。
第1話から、このドラマは同じ「本土復帰」でも見る人の立場によって意味が違うことを何度も描いている。
新里にとっては将来への不安。
与那覇にとっては警察官としての葛藤。
真栄田にとっては自分の居場所。
東京の人にとっては遠くのニュース。
事件だけでなく、こういう部分も面白い。
まとめ|現金強奪と娼婦殺人はつながる?
『1972 渚の螢火』第3話では、100万ドル強奪事件がかなり動いた。
サザンクロスの影のオーナーは川平。
川平は宮里たちのアジトへ姿を現す。
その直後、武装した4人組が襲撃。
宮里は100万ドルを持って逃走し、川平だけはほぼ無傷で残る。
一方、娼婦連続殺人事件については、19年ぶりに沖縄へ来たオーガスト・ミラーがいかにも怪しく見えてきた。
そして宮里の姉が殺されたのもちょうど19年前。
その事件現場には、宮里、川平らしき青年、座間味、喜屋武がいた。
現金強奪事件と娼婦連続殺人事件。
今は別々に進んでいるけれど、真栄田が以前言っていたように「自分たちが思っている以上に大きな力」が働き、最終的にはひとつにつながるのだろうか。
アメリカ人のミラーが本格的に出てきたので、そろそろCIDのイケザワ大尉もまた絡んできそう。
沖縄本土復帰まであと7日。
残り2話。
次週の展開がかなり楽しみ。

