WOWOWの連続ドラマW『夜の道標 -ある容疑者を巡る記録-』第2話を見てみた、姉です。
第1話では、殺人事件の容疑者・阿久津、彼を追う刑事・平良と大矢、スーパーで働く長尾豊子、小学6年生の波留など、それぞれの人物がどうつながるのかよくわからないまま話が進んだ。
第2話では、その関係が少しずつ見えてくる。
阿久津が中学生の時に起こした傷害事件。
豊子と阿久津の過去。
波留の家庭環境。
そして平良自身が抱える家族の問題。
いろいろな事情が明らかになったけれど、今回なんといってもつらかったのは波留だった。
以下、少しネタバレを含みます。
阿久津は本当に“暴力的な人”だったのか
殺人事件を追う平良と大矢は、阿久津が中学生のころに起こした傷害事件について当時の教師へ話を聞きに行く。
教師は、阿久津が殺人事件の容疑者になったと知って、
「あいつならやりかねない」
という印象を持っていた。
一方、事件の3日前に阿久津とBBQで会った女性は、
「信じられない。何かの間違いでは」
という。
同じ人物なのに、見る人によって印象がまったく違う。
そして後にわかるのは、中学生の阿久津が複数人に暴行されている人物を見て、助けに入った結果として傷害事件を起こしていたらしいこと。
単純に「暴力的な少年だった」と片付けられる話ではなさそう。
ここでも、
「阿久津とは本当はどんな人なのか」
という謎が深まる。
豊子は阿久津の過去を知っていた
スーパーで働く長尾豊子は、阿久津の中学時代の同級生。
しかも、阿久津が起こした傷害事件の一部始終を見ていた。
さらに豊子は、両親を事故で亡くしている。
その一周忌の帰り道、逃亡中の阿久津と偶然再会する。
そこで阿久津は、
「警察署に行かなきゃいけない。先生を殺しちゃったから」
と話す。
つまり豊子は、阿久津が殺人事件に関わっていることを知ったうえで、自宅の地下にかくまっている。
かなり大きなことをしている。
第1話では豊子がなぜ阿久津を助けているのかわからなかったけれど、第2話を見ると、昔から阿久津に好意を持っていたことも影響していそうに見える。
波留の家庭環境があまりにもつらい
今回、一番気の毒だったのが小学6年生の波留。
林間学校には参加しない。
先生が父親へ話そうかと声をかけても、
「自分で決めたことなんで」
と断る。
さらに先生から、
「冬休みに困ったことがあったらいつでもおいで」
と自宅の住所を書いたメモを渡される。
でも波留は、以前父親から言われた、
「教師なんて所詮は他人事」
という言葉を思い出し、そのメモを捨ててしまう。
助けを求める方法まで父親によって奪われているように見えて、かなりつらい。
冷蔵庫には酒しかない
家に帰った波留は空腹。
冷蔵庫を開けても、中にあるのはほとんどアルコール。
食べるものがない。
手元にある小銭だけを持ってスーパーへ行く。
でもお金が足りなかったのか、2個入りのメンチカツを万引きしようとする。
そこへ豊子が気づく。
ただ、頭ごなしに叱るのではなく、波留が万引きしなくて済むように機転を利かせる。
この場面もよかった。
豊子自身もいろいろ抱えている人物だけれど、困っている子どもを見過ごせないところがある。
猫のエサまで食べようとする波留
スーパーを出た波留は、公園で黒猫を見つけて後を追う。
そこには誰かが猫のために置いた食べ物がある。
猫が残したシュウマイを見て、波留はそれを食べようとする。
小学6年生の子どもが、空腹で猫の残した食べ物に手を伸ばす。
かなり重い。
そこへ食べ物を置いていた阿久津が現れる。
驚いた波留はシュウマイを落としてしまう。
すると阿久津は焼きそばを渡す。
それを食べ終えた波留が、
「ごちそうさまでした。また来ていいですか?」
と聞く。
この一言が本当に切なかった。
家に帰っても食べ物がない。
安心して食事ができる場所もない。
たまたま会った知らない大人からもらった焼きそばが、波留にとっては救いになっている。
父親は波留に“当たり屋”までさせている
さらにひどいのが波留の父親。
息子に交通事故の“当たり屋”をさせている。
しかも一度ではなさそう。
波留が嫌がっても、
「月謝を払わないとバスケができない」
と脅す。
女性が運転する高級車を選び、
「避けられないギリギリのタイミングを狙え」
と具体的に指示する。
小学6年生の息子を危険にさらして金を取る。
家には食べ物もない。
かなりひどい家庭環境だった。
桜介との家庭環境の差が残酷
その波留を気にしているのが同級生の桜介。
桜介は家で母親と餃子を作りながら、林間学校へ行けない友達について話す。
「お金を貸したら行けるのかな」
と心配する桜介。
母親は、
「家庭にはそれぞれ事情があるから、その子の前ではあまりその話をしないほうがいい」
と優しく教える。
この場面の直後に波留の生活を見ると、家庭環境の差があまりにも大きい。
桜介の家では、親子で餃子を作る。
波留の家では、冷蔵庫に酒しかない。
派手な説明をしなくても、2人の暮らしの違いが一発で伝わる場面だった。
波留と桜介を演じる2人の子役も、とても自然でよかった。
平良の家庭にも問題がある
一方、刑事の平良自身も家庭に問題を抱えている。
自宅へ帰ると、妻が割れた食器を片付けている。
息子がやったらしい。
息子は部屋へ閉じこもり、鍵をかけている。
平良は強引にドアを開けさせ、話をしようとする。
でも息子から、
「お前に何がわかるんだよ」
と拒絶される。
波留とはまったく違う家庭だけれど、こちらも親子の関係がうまくいっていない。
事件を追う刑事自身が、家庭では息子の心へ近づけない。
この平良の問題も、阿久津や波留の話とどこかで重なっていきそう。
阿久津が先生を殺した理由は“優生保護法”?
第2話まで見ると、阿久津が塾講師・戸川を殺した動機も少しずつ見えてきた気がする。
阿久津は離婚している。
元妻は、
「子ども好きな夫を、自分のせいで父親にしてあげられない」
と考え、自分から離婚を申し出た。
ところが、その後元妻は再婚し、妊娠する。
それが殺人事件の直前。
となると、子どもができなかった原因は阿久津の側にあった可能性が高い。
さらに阿久津には軽度の精神障害がある。
そして物語は1996年をかなり強く意識して描いている。
次回予告では、阿久津の母親が、
「結婚する日が来るとは思わなかった」
と話している。
ここまで揃うと、どうしても“優生保護法”が事件の背景にあるのではと思えてくる。
犯人探しより「なぜ殺したのか」が重要?
阿久津自身は、
「先生を殺しちゃった」
と言っている。
なので、少なくとも本人は自分が殺したと思っているらしい。
誰かをかばっている可能性もまだあるけれど、今のところ単純な犯人当てミステリーには見えない。
むしろ重要なのは、
「なぜ阿久津は戸川を殺したのか」
という部分なのかもしれない。
阿久津自身の過去。
障害。
結婚と離婚。
子どもを持つこと。
そして1996年という時代。
それらがつながった時に、事件の本当の意味が見えてくるのではと思う。
なぜ阿久津は『忠臣蔵』を何度も見るのか
個人的に妙に気になっているのが、阿久津がビデオで何度も見ている白黒映画『忠臣蔵』。
単純に好きな映画なのかもしれない。
でも、このドラマでわざわざ何度も映す以上、何か意味があるようにも思える。
『忠臣蔵』といえば、主君の仇を討つ復讐の物語。
阿久津の事件にも、
「誰かのための復讐」
のようなものがあるのだろうか。
まだ全然わからないけれど、ここも覚えておきたい。
まとめ|第2話で人物はつながり始めた。でも事件の本当の理由はまだ見えない
『夜の道標』第2話では、第1話ではバラバラに見えていた人物たちの関係が少しずつ見えてきた。
豊子は阿久津の同級生で、彼の過去を知っている。
波留は偶然阿久津と出会い、食べ物をもらう。
平良自身も家庭に問題を抱えている。
そして阿久津が戸川を殺した理由には、1996年という時代や“優生保護法”が関係している可能性も見えてきた。
それでも、まだわからないことは多い。
阿久津は本当に戸川を殺したのか。
なぜ殺したのか。
波留との出会いは何につながるのか。
そして阿久津が何度も見ている『忠臣蔵』には意味があるのか。
全5話なので、もう残り3話。
“社会派ミステリー”として何が明らかになっていくのか、続きを見てみようと思う。

