WOWOW 連続ドラマW『シャドウワーク』第5話(最終話)を見てみた、姉です。
最終話では、ついに薫がシェアハウスの「持ち回り」の全容を知り、自分自身も大きな選択を迫られる。
DV夫・晋一をどうするのか。そして、刑事である薫は彼女たちの行為をどのように受け止めるのか。
「生きたい」と自分の意思を口にした薫の選択は印象的だったけれど、その後についてはいろいろ含みを持たせる終わり方で、個人的には少しモヤモヤも残った。
今回は最終話の結末と、全5話を見終えて感じたことを書いていきます。(原作の小説は未読です)
ここから一部ネタバレを含みます。
薫の夫・晋一がシェアハウスに持ちかけた取引
おおまかな流れとしては……。
館山南署刑事課の北川刑事(以下「薫」)の夫・北川晋一(警察庁刑事局捜査第二課)は、自殺と処理された件について薫が調べていることを自分も調べて、昭江と路子が運営するシェアハウスへたどり着く。
そして昭江と紀子の前で、妻の薫に会わせてほしいと頼むも昭江は断る。すると夫は「ここからは警察庁の人間としてお話をさせてもらいます」と、メモを出し、自分が調べてわかったことを話し出す。
ここの住人が出ていく前には必ずその人の夫が死亡している。あなたたちは殺人犯だが、自分が黙っていれば発覚しない。だから自分に力を貸してほしい、という取引だった。
薫は夫をおびき出すためのおとりだった
北川刑事(以下「薫」)は、昭江と路子が運営するシェアハウスへ泊まりで遊びに来ないかと誘われ、シェアハウスを訪れる。そして出されたお茶に(多分)睡眠薬を混入され、薫は眠ってしまう。
しばらくして薫が目覚めると、目の前には夫がいる。夫は「話をつけたいと思って呼び出してもらった」と言い、薫に殴る蹴るの暴行。そして離婚する代わりに告訴を取り下げて謝罪しろと迫る。
薫は土下座して言われるままに謝罪するも、夫は約束を守るつもりなどなく、ネクタイで薫の首を絞める。
そこにシェアハウスのメンバーが登場して、昭江が夫を挑発。首を絞める手を離して向かってくる夫を皆で押さえつけ、路子が胸に服の上から注射器を刺す。
昭江は「最初からあなたと手を組むつもりなんてない」と言い、夫は「裏切ったな……」と倒れ込む。
路子に応急手当をされた薫に昭江は、晋一が突然やって来て、妻を呼び出してほしい、もし話がつかなかったら始末してほしいと持ちかけてきたことを説明する。
薫の夫が薫に暴行し、ネクタイで首を絞める様子など一部始終は、部屋に仕込んだカメラで皆が見ていて、すべて録画していた。
薫は夫をおびき出すためのおとりだった。
「持ち回り」はどうやって始まったのか
薫は、美佳子のことなどを質問し始め、美佳子を殺した松原を病死を装って殺害した経緯など、皆で答えていく。
交換殺人の始まりは、シェルターで出会った昭江と路子の間での交換殺人。路子の夫の遺産を使ってシェアハウスとパン屋を始めた。
皆の夫が死亡となっている中、昭江の夫だけが行方不明なのは、当時路子と昭江が一緒に住んでいたアパートに路子が後をつけられ、昭江の夫が包丁を持って襲撃してきて2人で殺してしまい、シェアハウスの庭の花壇に埋めたから。
路子が住人を探し、昭江が住人の面倒を見ると決めた。
昭江は、人生をやり直すためにたった一度、他人を押しのけることを自分に許す。それがルールだと話す。
法律は「殺すな」というけれど、踏みにじられてきた者たちにとっては「殺されるな」。自分たちは決していいことをやっているとは思っていないし、どんな罰を受ける覚悟もある。それでも、これしかなかったという。
路子は、このシェアハウスを出ていった人たちが似たような家を全国各地に作っていること、その家単位で交換殺人が行われていることも明かす。
始末されるDV夫は、周囲に知られたくない、逃げた妻をなんとしてでも取り戻したいと躍起になっているから心理的に誘導しやすい。薫の夫もそうだった。
「生きたい」と選んだ薫
そして昭江は薫に選択させる。
暴力の支配から解放されて人生をやり直すこともできる。
このままでいることもできる。
今すぐ自分たちと夫を逮捕することもできる。
麻酔薬ではなく筋弛緩剤を打つこともできたが、そうしなかったのは薫自身の判断に任せるためだった。
薫は泣きながら、
「生きたい、私も生きたい……」
と答える。
そして薫の見ている前でシェアハウスの全員が協力し、薫の夫に(多分)筋弛緩剤を注射して殺害。シェアハウスの庭に埋める。
荒木はどこまで気づいている?
パン屋では“葵”という新しい住人が働き始める。紀子がレジで接客をしていると、館山南署で薫とペアを組んでいた荒木が店を訪れる。
荒木は、北川薫がどこにいるか知らないかと紀子に尋ねる。北川晋一は失踪として処理され、行方不明として捜査中。そして自分は薫にどうしても会わなければならないという。
紀子はそれに答えない。
パンとサービスのコーヒーを片手に店を出る荒木に「また来てくださいね」と声をかけ、荒木は頭を下げて店を後にする。
2両編成の電車に、私服姿で1人乗っている薫。隣にはリュックが置かれている。
紀子はパン屋の看板を片付けに外に出て、周りを見渡し、最後にカメラ目線。何も言わずに店の中に看板をしまう……といった感じ。
第5話(最終話)を見てみて
薫はシェアハウスの実態を知った後に、自分の意思で夫の殺害を望み、生きることを選択し、夫の遺体はみんなで多分シェアハウスの庭に埋めるのだけれど、ここまでは結構細かく話が進むのに、その後については、突然話がボヤッとする。
わかるのは、「薫は電車に乗ってどこかに行く」こと。そして荒木がパン屋に来て紀子に「北川晋一(薫の夫)は失踪と処理され行方不明で捜査中。僕はあの人(薫)に会います」と言うこと。
紀子と荒木の会話が意味深
荒木はパン屋での紀子との会話で、接客して調理もしていることを「持ち回り……ですか」と言ったり、紀子の足の傷(DVの傷)を見てハッとしたりする。
紀子は、生きるために万引きする小学生(低学年)の男の子に、将来お金ができたら全部返してね、ちゃんと見張ってるから、とツケにしているという話をして、「どうぞ見張っててください、私はずっとここにいますから」と言ったり、サービスのコーヒーを渡しながら「お好きだと聞いています」と言ったり……なにしろ思わせぶりではっきりしない。
それでも最初は「持ち回り」に戸惑いを感じていた紀子が、最終話になってお茶の中に睡眠薬を入れることもさらっとできるようになり、薫の夫を殺害すると決まった時には、いの一番に動き出したり、荒木と含みのある会話をしたりする姿は、人間は慣れたり覚悟が決まるとそういうものなのかな、と興味深い。
シェアハウスには「葵」という新たな住人が来たので、いろいろあったが全ては今まで通りということなのかもしれないけれど……。
薫はその後どうなった?
結末がいろいろ含みを持たせたりする終わり方だったのは、もうちょっと違う終わり方を勝手に想像していたので、筆者的には少し残念。
気になったのは、薫の夫・晋一は警察庁のエリートで父親は元刑事局長と、警察関係者で行方不明で捜査中とか、ちょっと調べたら薫も薫の夫も荒木もたどり着いちゃうようなシェアハウスの庭に晋一の遺体を埋めておいて大丈夫?ということ。昭江の夫も埋まっているわけだし。
薫がシェアハウスへ泊まりに行ったのは、薫が1カ月の停職中の間でのことだと思うけれど、荒木は夫・晋一は行方不明で捜査中、紀子に薫がどこにいるかご存じないですか?と聞きはするも、薫は行方不明で捜査されているわけではなさそう。
だとすると、薫はちゃんと辞表を出して警察を辞めたのか?それとも??1人で電車に乗ってどこかに行く感じだったけれど、単なる旅で停職明けに刑事に戻るの?いや……荒木が探しているのだから、それはないかな……。
薫が警察を辞めたのだとしたら、夫が行方不明になるタイミングとばっちり重なって怪しすぎると思うのだけれど。
個人的にはこんな結末も見てみたかった
個人的には、薫はシェアハウスの実態を知ったうえで、薫に完璧なアリバイがある状態で薫の夫は「持ち回り」で殺害されるも「自殺」と処理され、闇落ちした薫は警察に残り、看護師の路子がシェアハウスの住人を探し看護師の知識で死を装うように、刑事であるがゆえにできる「持ち回り」の役割を今後果たしていく……みたいな感じが面白いかなと思っていた。
全5話で一番良かったのはキャスト
最終話まで見てみて、『シャドウワーク』で一番良かったと思うのはキャストの方々。
多部未華子さん(紀子)、桜井ユキさん(薫)も良かったけれど、何と言っても寺島しのぶさん(昭江)、石田ひかりさん(路子)が良かった。淡々とした物言いで恐ろしいくらい冷静、覚悟を決めた女性の強さや怖さが光っていた。
物語としては、薫がシェアハウスの秘密を知ったあと、DV夫のことも含め、最終的にどのようになる(する)のかが最初の頃からこの話の面白いところだと思っていたので、夫が死んだ後に薫が今後どのような人生を歩むのかわからないという終わり方はちょっとモヤモヤした。
そんなわけで、原作小説は未読なので小説の結末はどうなっているんだろう?機会があれば読んでみたい、そして……ドラマの中でみんなで食べていた盛栄堂の「さざえ最中」もちょっと食べてみたいなと思った。

