2026年10月16日からテレビ東京で放送が始まった、沢村一樹主演のドラマ『ボーダーズ 警視庁特殊事件対策班』。
堂場瞬一の同名警察小説シリーズを原作に、従来の警察組織では対応しきれない事件に挑む特殊事件対策班「SCU」の活躍を描く本格警察サスペンス。高杉真宙、玉城ティナ、眞島秀和らが出演する。
第1話では、銀行内殺人事件と大学教授宅放火事件という2つの事件が発生。高杉真宙演じる八神の優れた観察眼や、謎の多いSCUのキャップ・結城の言動が印象に残った。
今回は、そんな『ボーダーズ』第1話の、ちょっとネタバレを含む感想をまとめました。
どんなドラマ?
警視総監直属の特命部署「SCU(特殊事件対策班)」は、従来の縦割り組織では対応が難しい、部署や管轄の境界を越えた事件を扱うために設立された組織。
元公安の結城新次郎をキャップに、優れた観察眼を持つ八神佑、野心家の朝比奈由宇、IT技術に精通する最上功太、経験豊富な綿谷亮介という、異なる能力や経歴を持つ5人が集められた。
それぞれの能力を生かし、ときには衝突しながら難事件に挑んでいく警察サスペンス。
銀行内殺人事件
今回SCUが関わる事件は2つある。その1つ目が「銀行内殺人事件」。
警視総監直属の部署、特殊事件対策課班(SCU)は警視庁建物の中ではなく、新橋9丁目にある。その近くの銀行で立てこもり事件が起きる。犯人の男は男性客1人を刺して女性行員1人を人質にとっている。
SCUのキャップ結城は八神と最上に「現場ちょっとのぞいてきてくれ。黙って見てりゃあいい」と指示。ただし、捜査は専門の部署に任せ、余計なことはしなくていいという。
事件には捜査一課とSIT(特殊班第一係)が出動し、犯人はあっけなく逮捕される。
犯人は大手自動車メーカーに勤める55歳のサラリーマン、中内伸治。
刺された男性客は死亡。持っていた保険証から「小玉明夫」ということがわかるが、指紋を照合すると過激派組織のメンバーで40年前に警官を殺害した容疑で指名手配されている「藤岡泰」であることが判明する。
新橋署に特捜本部が立ち、結城は八神に捜査会議に顔を出すよう指示。部外者なのに大丈夫なのか気にする八神に結城は「それがSCUだ。お前が必要だと思ったらなにやってもいい」と言葉をかける。
SCUのメンバーである八神は元捜査一課なので、立てこもり事件の現場で顔見知りの石岡から話を聞いたりしていた。殺害されたのが指名手配中の藤岡だと判明したことで、捜査会議には公安、そして八神も参加する。
現実はどうなのかわからないけれど、ドラマの中で公安の捜査員たちはあまり好意的に描かれないことが多いよう感じる。今回もご多分に漏れず、公安の小林は嫌な感じで登場。
SCUができた理由
元マル暴の綿谷はSCUの副キャップ。捜査一課との違いに戸惑っているという八神に綿谷は、自分もここに来て3年になるが、いまだに結城のことはわからないと話す。
トクリュウもそうだが、手口も犯人も変化するばかり。管轄や部署を越えて捜査すべき事件が増えたが、相変わらず縦割りで縄張り意識が強い。それを打破しようということでSCUができたという。
しかし、そうした組織は現場がいちばん嫌うもの。おまけに警視総監直属の組織で、キャップが公安出身となれば、煙たがられて当然の部署だという。
藤岡にこだわる結城
捜査会議に出た八神の報告を受け、結城は公安が藤岡について、すでに過激派組織とは関係が切れていると判断していることをメンバーに伝える。
そして、どんな情報でもいいから集め、藤岡という人間を徹底的に調べるよう指示する。何を目的に調べるのかと尋ねる八神に、結城はそれを探るのが君たちの仕事だと答える。
立てこもり事件現場に行っても「専門の連中に任せて余計なことをする必要はない」と結城はいっていた。しかし、藤岡に関しては、捜査一課や公安がいるのになぜSCUも情報を集めるのか?八神じゃなくてもその理由は知りたいかも。
八神の観察眼
八神は朝比奈と共に、小玉明夫(藤岡)の住民票に記載されているアパートへ。
家の中を見て回ると八神は、古いラジカセらしきものに目がとまる。スイッチを押しても動かず、持ち上げると違和感がある。振ると中に何かが入っているような音がするため、気になって分解してみると、中には帯封の付いた100万円の札束が入っていた。
驚いた朝比奈がどうしてわかったのかと聞くと、八神は「なんとなく気になった」と答える。
さらに、最上のもとに届いた銀行の防犯カメラの映像をメンバー4人で確認すると、八神は犯行の瞬間を目撃してる女性がいることに気付く。その女性が持っていたバッグには、近くのホテルのロゴが入っていた。
綿谷が100万円の発見といい、女性の発見といい、観察眼がすごいと褒めると、八神はまたしても、ただ気になっただけだと答え、ホテルに話を聞きに行くことにする。
SCUのメンバーはそれぞれ異なる特殊技能を持っているということで、今回は八神の優れた観察眼がいろいろな場面で描かれている。見つけられる理由が長々とあるわけではなく、直感的というか感覚的で「なんとなく気になった」「ただ気になった」というのだから、なんとも特殊技能っぽい。
手柄争いをしないSCUの捜査方針
八神と朝比奈はホテル従業員の目撃者の女性から話を聞き、犯人がナイフを出して藤岡を刺す前に、「ちがう」とか「けいき」とかそんなふうなことを言っていたことがわかる。メンバー4人でその意味を考えていると、結城が部屋に入ってくる。そして、ホテル従業員の目撃証言は新橋署に伝え、調書も向こうに任せるよう指示する。
情報共有は大切だが、それでは手柄をみすみす渡すことになるのではないかと疑問を抱く八神。結城は「うちは捜一とは違う。手柄争いなど気にする必要はない」と答えると、八神はちょっと腑に落ちない表情になる。
藤岡についてなんでもいいから調べてくれ、と言われて自分たちで見つけた情報を他部署と共有、さらに調書も向こうにまかせろ、という結城に八神が困惑するのもなんとなく分かる気がする。
手柄争いなどする必要がないSCUは、各部署の壁を越えて捜査の協力ができれば、事件を解決しなくても良いという部署なのだろうか?まだよくわからない。
ちなみに、藤岡を殺した中内は取り調べで「むしゃくしゃしていて誰でもよかった」と、今のところ供述している。防犯カメラの映像では、中内は刺す前に藤岡に何か言っていたようなので、その言葉の意味も今後わかってくるのだろうと思う。
八神の過去
八神は元警察官の妻と2人の娘がいて、SCUに異動になってからは帰りが早いようで、毎日一緒に食事ができるのを娘たちは不思議に思っていた。
食事を終えた八神は、手帳にはさんである、制服姿の自分と西田が2人で写った写真を見る。
西田は捜査一課時代の同僚だった。ビルの高層階で八神が犯人と思われる男を追いかけていたとき、相手がナイフを出して揉み合いとなり、倒れた八神は刺されそうになる。
そこへ危機一髪のタイミングで西田が駆けつけ、男を止めに入るが、2人はそのまま外階段の踊り場でもみ合いに。起き上がった八神が西田を助けようとした瞬間、西田は男と共に高層階から落下し、2人とも転落死してしまう。
その後、八神は自分にも責任があるとして上司に辞職願を提出するが、上司はそれを受け入れず、SCUへの異動を命じる。
自分を助けてくれた西田が、目の前でビルから転落していくさまを見た八神。悪いのは八神ではないけれど、トラウマになるようなショックな出来事だったのは間違いないだろう。
大学教授宅放火事件
今回、SCUが関わる事件の2つ目は「大学教授宅放火事件」。
結城はメンバーを前に、現在、Zと名乗る人物が官庁や政府系機関を情報源とするインサイダー情報を漏洩し、ネットを中心に騒ぎになっていると説明する。
Z自身は情報源として表に出てくることはなく、暴露情報を知った人たちが信者のようにSNSで拡散したり、暴露系の配信者が取り上げたりしている状況だという。
そんな事案に、なぜSCUへ応援要請が入ったのかというと、Zの暴露情報に影響を受けた人間が放火事件を起こしたから。大学教授の自宅に火炎瓶が投げ込まれたが、ドア周辺の一部が燃えただけで消し止められた。
防犯カメラの映像から犯人は2人組とみられ、そのうちの1人が25歳の竹本雄太。竹本はZの情報の配信者の1人として捜査線上に浮かんでおり、犯行現場近くの防犯カメラにも映っていたことから、別件で逮捕されて事情を聞かれている。
放火された家に住む東政大学の政治学教授・朝村は、テレビにも出演している人物。朝比奈と最上は、Zの情報に影響を受けた人物が犯行に及んだ可能性があると考えて話を聞くが、朝村は自分には狙われる理由がないという。
一方、八神と綿谷は所轄署で竹本の取り調べに立ち会うが、供述は二転三転する。物証が出ない以上、起訴には自供が必要。しかし、別件の勾留期限までに供述を得られなかった場合、後々問題になる可能性もある。そこで竹本を泳がせ、仲間に接触するタイミングを狙うことになり、八神と最上が監視を担当する。
放火事件にも現れた公安・小林
竹本は自宅を出て、歩いてどこかに向かう。八神は徒歩で最上は車で追うと、コンビニの駐車場にとまっていた車に竹本が乗り込み、運転席の男と話をしている。
八神はコンビニの中に、公安の小林がいるのに気付く。竹本の乗った車が発進したため、最上に追跡を任せ、八神はコンビニを出て歩いていく小林の後を追う。しかし、途中で見失ってしまう。
矢柴俊博さん演じる謎の多そうな公安・小林は、雰囲気もぴったりで印象に残るキャラクター。公安は誰を監視しているのか、これから少しずつわかってくるのだと思う。
潜伏先から判明した2つの事件の接点
最上が追跡した結果、竹本の乗った車は西新宿9丁目のマンションに到着。捜査本部に監視の応援を要請する。
八神と最上はSCUのメンバーに報告。車のナンバー照会と免許証データから、コンビニで目撃した運転手の男は佐川修斗だと判明する。さらに管理人への確認で、出入りしている部屋が4001号室と特定できた。竹本と佐川はまだ室内に滞在している。
そのとき綿谷に捜査本部から連絡が入る。竹本たちが潜伏している部屋の賃借名義人が、小玉明夫、つまり藤岡泰だとわかったのだ。
2つの事件がつながるってことなのか?翌朝7時のガサ入れにはSCUも同行するため、メンバーたちは今から捜査本部に合流しようと慌ただしく準備を始める。
2つの事件に公安の小林が出てきた時点で、関係があるんだろうなとは思ったけれど、こんな感じでつながるとは思っていなかった。これから先、いろいろなことがわかってくるのが楽しみだ。
八神の推論
皆が準備を進める中、八神は結城に、何か隠しているのではないかと詰め寄る。
部屋の名義人が藤岡だと知っていたのではないか。コンビニには公安の小林もいた。2つの事件が藤岡でつながっているのだとしたら、背後に何かあるはずだと、八神は推論をぶつける。
しかし結城は、確証のない推論は捜査の邪魔になると一蹴。そう思うのなら自分たちで明らかにしろと答える。
結城は立場上、いろいろ言えないことがあるのだろうけれど、スーパーな観察眼を持つ八神にはモヤモヤすることが多そう。
【ボーダーズ】第1話の感想・総評
初回から事件が2つ、SCU以外に出てくる部署も多いので当然、登場人物も多い。SCUのメンバーのそれぞれの特殊技能がどんなことなのかもっとわかるのかと思ったけれど、今回は八神の優れた観察眼や彼の家族や過去が描かれていた印象。
初回は1話完結ではなかった。今後この2つの事件が数話で終わる話なのか、最後まで引っ張られるのかわからない。
内容盛り沢山でテンポが早いのは良いけれど、これ以外にも結城が緩和ケアセンターに入院している男性に会いに行ったり、警視総監と意味ありげな話をしたりと、いろいろあり過ぎでちょっと頭が混乱したところもある。
一番気になるのは、公安が関係していること。公安が出てくる話はどうも超法規的なことが出てきて、なんでもありみたいな話になったりすることがある。そうなると、もう法に則って地道に捜査している他の部署が気の毒になる。
ただ、2つの事件が思わぬところでつながったことで、今後の展開には興味が湧いた。
小説が原作なので、どんな結末であろうと、最後にバタバタと話をまとめるようなことはないだろうと期待しつつ、SCUの活躍と今後の展開を見守りたい。
