「相棒 season25」の第2話は、初回スペシャルからの続き。
溝口総理とその盟友である仲井戸補佐官の殺害事件を中心に、ハドリア連邦大使館、サルウィン大使館、国家情報局など、さまざまな組織が絡むスケールの大きな展開。
すべての始まりは「溝口総理の秘密」。その秘密とは何なのか……。
今回は、第2話で気になった点も交えながら感想を書いていきたい。
※以下、ネタバレを含みます。
総理の秘密をめぐる事件
総理大臣・溝口の秘密をリークしようとしていたとみられる大学研究室の助手・光屋が行方不明になった。
右京と亀山は光屋の部屋を捜索するが、総理につながる情報は見つからない。そんな中、右京のもとには光屋がサルウィンの人間に拉致される動画が届く。しかし、それはフェイク動画だった。
一方、仲井戸補佐官殺害事件では、容疑者の門田があっさり犯行を認め、動機まで語り始める。
門田は、4年前にホームレスたちを竜宮緑地公園から追い出した仲井戸を恨んでいたという。しかし、右京は門田の供述に違和感を覚える。
証拠隠滅に失敗したこと、防犯カメラに姿を残していたことなど、通常の犯人なら避けるはずの行動が目につくのだ。
やがて右京と亀山は、門田が殺人犯の身代わりになることを望んでいたと知る。
ホームレス生活に限界を感じ、刑務所で暮らしたいと考えた門田。仲井戸への恨みも作り話で、殺人の罪をかぶること自体が目的だった。
では、本当の犯人は誰なのか。
国家情報局の社も動く中、事件の背後にはハドリア連邦大使館の関係者・能崎の存在が浮かび上がる。
仲井戸が殺害された理由
事件の真相を追う右京は、溝口総理が抱える秘密に迫っていく。
総理はかつて、ハドリア連邦から来た商社マンと出会い、その人物がハドリア情報局のスパイだったことを知らずに親しくなった。
やがて総理は情報提供者となり、役人時代を経て政治家になってからも、ハドリア側との関係を続けていた。
そして、ついに日本の内閣総理大臣にまで上り詰める。
つまり、溝口総理にはハドリア情報局のスパイという、もう一つの顔があったのだ。
総理の秘密を知った仲井戸は、その事実を公表すべきだと考えていた。しかし、総理自身は公表に踏み切れずにいた。
そこで仲井戸は、光屋にハドリア連邦の前大使ロバートのパソコンをハッキングさせ、秘密を明らかにしようとしたとみられる。
ところが、ハドリア側は総理と仲井戸の会話を盗聴していた。総理が秘密を打ち明けた部屋にあったロバートから贈られた置物には、盗聴器が仕掛けられていたのだ。
仲井戸の計画を察知したハドリア側は、仲井戸を危険分子と判断して殺害。能崎は殺人の身代わりを探し、実行犯を手配していた。
右京の追及を受けた溝口総理は、ついに自らの秘密を公表する決意をする。
総理は緊急生配信で、ハドリア情報局との関係を告白。自分がスパイという立場にありながら、日本の国益を優先してきたと説明した。
しかし、国のトップが外国の諜報機関と長年にわたって特殊な関係にあった事実は、簡単に許されるものではない。
溝口総理は辞任し、議員も辞職する意向を固めた。
仲井戸補佐官殺害事件では、首謀者の能崎と実行犯の坪尻が逮捕された。
気になった点
総理が秘密を公表するまでの展開
今回の事件は、総理の秘密をきっかけに盟友・仲井戸が殺害され、さらに光屋の失踪とサルウィン大使館やハドリア大使館の関与が明らかになるなど、かなり大きな話だった。
最終的には総理が自ら秘密を公表し、仲井戸殺害の実行犯も逮捕されたことで、事件には一応の決着がついた。
ただ、そこに至るまでの展開には、少々無理やりな印象もあった。
そもそも、仲井戸はなぜ光屋にハッキングを依頼したのだろうか。
総理から秘密を打ち明けられ、公表すべきだと考えたのなら、なぜ自ら公表するよう説得するだけでは駄目だったのか。公表に踏み切れない総理の背中を押すためだったのかもしれないが、光屋を巻き込んでまで情報を盗み出す必要があったのかは、少し引っかかった。
また、右京は総理の秘密にどこまで迫っていたのだろう。
総理が自ら告白するまで、右京が「溝口総理はハドリアのスパイだったんですね?」と直接問いただす場面はなかった。
仲井戸殺害の真相にはたどり着いたものの、総理の秘密そのものについては、右京も確証を得ていなかったということなのだろうか。
なぜ右京を総理のそばに置いたのか
今回、国家情報局の社は、総理のそばに右京を置くために動いていた。
社は、溝口内閣に危機が迫っている可能性を伝え、総理に右京を内閣官房参与として採用させる。
しかし、総理はなぜそこまであっさり右京を受け入れたのだろう。
仲井戸補佐官殺害事件の真相を知りたかったからなのか。それとも、社から何らかの説明を受けていたのか。
総理が右京を近くに置くことを受け入れた理由は、もう少し描かれていてもよかったように思う。
国家情報局が活躍する一方で、公安は?
スパイが絡む事件であれば、公安の登場を想像するところだが、今回は国家情報局が中心となって動いていた。
社はサルウィン大使館の反応を探り、光屋の所在を突き止めるなど、事件の解明に貢献していた。
ただ、ハドリア連邦が日本にとって重要なパートナーであることから、能崎の扱いには慎重にならざるを得ない。
途中からは、社がアンタッチャブルな案件を右京に託しているようにも見えた。
右京には組織人としてのリミッターがないという社の言葉は、いかにも右京らしい展開ではある。
とはいえ、国家間の問題、特にスパイを扱うなら、公安を含めた警察組織がどのように関わっているのかも見てみたかった。
事件の細部にも気になるところが
門田が防犯カメラに映る場所を選んでいたことや、焼却した衣類が雨で燃え残ったことなど、右京は犯人らしからぬ行動から違和感を見抜いていった。
ただ、実際の殺害現場の防犯カメラ映像と門田の姿を照合すれば、歩容認証などで別人だと判明する可能性はなかったのだろうか。
また、国家情報局はサルウィン大使館にいる光屋の姿を映像で確認していたが、そもそも、どのようにして大使館内の映像を入手したのだろうか。
総理の部屋に置かれていた置物の盗聴器についても、事前に発見できなかったのだろうか。一議員ではなく、内閣総理大臣の部屋である。あまりにも迂闊ではないか。いつ設置されたものなのか、長期間にわたってどのように作動していたのかなど、細かな部分が気になってしまった。
そして、能崎が殺人の身代わりを探し、さらに実行犯まで手配するという方法にも疑問が残る。関係者を増やせば、それだけ計画が発覚する危険性も高まるはずだ。
ハドリア側には、もっと別の方法があったのではないかと思ってしまう。
ミンとサルウィンの動向も気になる
今回、もう一つ気になったのが、光屋がサルウィン大使館に保護されていたことだ。
光屋はミンのスマートフォンを使って週刊誌「フォトス」と連絡を取っていた。サルウィン側は、そのやり取りから何らかの情報をつかんだのだろうか。
日本とハドリアの弱みを握ろうとしていたのかもしれないが、光屋を保護した目的や、何を得ようとしていたのかは、少し分かりにくかった。
また、ミンは単なる留学生なのだろうか。それとも、サルウィン側から何らかの役割を与えられているのだろうか。
亀山夫妻との関係も含め、ミンとサルウィンの存在は今後の物語につながっていきそうな雰囲気があった。
亀山が再びサルウィンと関わることになれば、相棒交代にもつながるような大きな展開が待っているのかもしれない。
まとめ
総理の秘密、仲井戸補佐官の殺害、光屋の失踪とサルウィン大使館、そしてハドリア連邦の関与。
さまざまな要素が絡み合った今回の事件は、総理の辞任・議員辞職、仲井戸殺害の首謀者・能崎と実行犯・坪尻の逮捕、そして光屋の不正アクセス禁止法違反による逮捕という形で決着した。
ただ、個人的には、結末そのものよりも、そこに至るまでの展開に無理やりな印象が残った。
総理の秘密を公表するまでの経緯や、仲井戸がハッキングという手段を選んだ理由など、もう少し納得できる描写があれば、違った印象になったかもしれない。
一方で、ミンやサルウィンの動向には今後につながりそうな気配もあり、気になるところだ。
個人的には、大きな陰謀を描くスペシャル回よりも、普段の1時間枠で描かれる一話完結の事件のほうが、すっきり楽しめることが多い。
これまでの「相棒」も、どのシリーズにも特に印象に残る面白いエピソードがいくつかあった。だからこそ、今シーズンでもそんな一話に出会えることを期待したい。
「相棒 season25」では、これからどんな事件が描かれるのか。次回以降も楽しみに見ていきたい。

