WOWOWドラマ『MR-医薬情報担当者-』第2話の感想を、ネタバレを含めてまとめました。
第1話に続き、今回も紀尾中(向井理)が鮮やかに問題を解決していく、見終わったあとにすっきりする展開だった。
ライバル会社の策略によって窮地に追い込まれながらも、持ち前の観察力と記憶力で不正を見抜く紀尾中。今回は単に相手を打ち負かすだけではなく、過ちを犯した医師が本来の姿を取り戻すところまで描かれていたのがよかった。
ただし、ラストでは咲子(森田想)の容体が急変。ここまでの痛快な展開から、次回は少し違う方向へ進んでいきそうな気配も感じられた。
今回も痛快!紀尾中が暴いたライバル会社の不正
今回の中心となったのは、天保薬品が開発した糖尿病治療薬「パンセル」をめぐる争い。
診療ガイドラインで高い推奨を得ることができれば、全国の医療機関で処方される可能性が高まる。それだけに天保薬品にとっては社運を懸けた重要な局面だった。
ところが、パンセルの講演会で、承認されていない効能を示すデータが突然スクリーンに映し出されてしまう。医薬品広告規制に抵触しかねない内容で、講演会の直後にはSNSでも問題視され、天保薬品は窮地に立たされる。
その裏で動いていたのが、ライバル会社タウロスの鮫島(要潤)と、城北大学病院の八神(酒向芳)だった。
今回も面白かったのは、紀尾中が相手の不正を見抜いていく過程だ。
堂之上(松尾諭)に支払われていた不自然な講演謝礼に目をつけ、過去の何気ない会話まで覚えていたことから、講演記録の矛盾を突き止めていく。
相変わらずの記憶力には驚かされるが、単に頭が切れるだけではない。日頃から相手の話をきちんと聞き、その内容を覚えているからこそ、今回のような場面でも役に立つのだろう。
第1話と同じく、相手の策略によって追い込まれたところから、最後には形勢を逆転させる展開が実に痛快だった。
堂之上の改心が生んだ、後味のよい結末
今回、特によかったのは堂之上の結末だ。
堂之上はタウロスから実際には行っていない講演の謝礼を受け取り、その見返りとしてパンセルの評判を落とす策略に加担していた。
しかし、単純に金に目がくらんだ医師というわけでもなかった。
亡くなった父親が地方で営んでいた病院を残したいという思いがあり、借金も抱えていた。そうした事情につけ込まれ、タウロスや八神の誘惑に負けてしまったのだろう。
紀尾中は、そんな堂之上を必要以上に追い詰めようとはしなかった。
以前から堂之上の人柄を知っており、本来は患者と真摯に向き合う、いい医師だと信じていた。だから、父親の病院を残したいという事情も理解した上で、もう一度正しい道に戻る機会を与えたように思える。
実際、紀尾中が求めたのは、ヒアリングで真実を話すことだけだった。
そして堂之上は自らの過ちを認め、八神から侮辱されても屈することなく、今度こそ患者のために働くと宣言する。
この場面はよかった。
不正を暴かれた人間がただ罰を受けるのではなく、自分の間違いに気づき、もう一度医師として患者に向き合おうとする。そこに今回の結末のよさがあったと思う。
紀尾中も堂之上の不正を明らかにしたあと、八神や鮫島を徹底的に追及しようとはしなかった。
それは決して甘いからではなく、最初から相手を打ち負かすことが目的ではなかったからだろう。
患者ファースト、それ以上でもそれ以下でもない紀尾中
ここまで2話を見てきて、紀尾中はとてもシンプルで誠実な人物だと感じた。
その行動の中心にあるのは、徹底した患者ファーストという考え方。それ以上でもそれ以下でもない。
自社の薬だからといって無条件に薦めるわけではなく、他社にもっと優れた薬があれば、迷わずそちらを薦める。第1話でも、自社製品に問題がある可能性を否定せず、正確な医薬品情報を伝えることを優先していた。
今回も基本的な姿勢は変わっていない。
紀尾中は、なんとしても自社の薬を採用してもらおうと考えているわけではないし、ライバル会社と争いたいわけでもない。
ただし、不当な妨害を受ければ黙って引き下がることもしない。
今回、いつになく強い態度で不正に立ち向かったのも、長い年月をかけて開発され、多くの患者の役に立つはずの薬が、不正な手段によっておとしめられることを許せなかったからだ。
会社の利益や自分の立場を守るためではなく、患者にとって何が正しいのか。それだけを基準に行動しているように見える。
もっとも、紀尾中が最初からこのような人物だったとは限らない。
第1話のラストで鮫島が口にした、紀尾中は過去に患者を死なせたことがあるという話も気になる。
今の完璧とも思える仕事ぶりや、徹底した患者ファーストの姿勢は、その過去の過ちから生まれたものなのかもしれない。
そう考えると、紀尾中がなぜここまで信念を貫こうとするのか、その理由も少しずつ見えてくる気がする。
咲子の容体急変、次回から物語は変わるのか
今回も第1話と同じく、すっきりする展開で面白かった。
紀尾中が毎回さまざまな問題を解決していくのであれば、こういうドラマとして楽しむのもいいと思っていた。
しかし、ラストでは肺がん患者の咲子の容体が急変してしまう。
咲子に投与されていたのは、天保薬品の「ノベルマ」。第1話からSNSでは、この薬によって家族を亡くしたという薬害を訴える投稿が登場していた。
もちろん、現時点では咲子の容体急変とノベルマに因果関係があるのかは分からない。
ただ、もし自社の薬に問題があったとしたら、紀尾中はどうするのだろうか。
これまでは、ライバル会社の不正を見抜き、患者のために正しい判断をすることで問題を解決してきた。しかし今度は、自分が所属する会社の過ちに向き合わなければならなくなる可能性がある。
会社が開発した薬を信じてきた紀尾中にとって、これまでとは違う難しい状況になるのかもしれない。
患者ファーストを貫いてきた紀尾中の信念が、いよいよ試されることになりそうだ。
次回からは、これまでのような痛快な展開ばかりではなくなるのかもしれない。それでも、紀尾中がこの問題にどう向き合っていくのか、引き続き見ていきたい。
