第8話を見ながら、なぜか『水滸伝』を思い出していた。
最初は気のせいだと思った。
都知事選を描くドラマなのだから、水滸伝と似ているはずがない。
それでも、白鳥光留があかりたちのもとを訪れ、悩みを打ち明け、気づけば仲間になっていく姿を見ているうちに、だんだんその感覚が強くなっていった。
あれ。
これ、どこかで見たことがある。
そう思ったとき、頭に浮かんだのが梁山泊だった。
第8話あらすじ(簡単に)
都知事選への出馬を正式に表明したあかりは、「8つの安心」を柱とする政策を発表する。
一方で、茉莉は母・瑠璃が患っていた病気の治験と、新座学部長、そして鷹臣との繋がりを示唆する情報を入手。都知事選の裏で、新たな疑惑が浮上し始めていた。
そんな中、ポスター貼りのボランティアとして現れた人気声優・白鳥光留が、生成AIによる音声利用への不安から声を失っていることが判明。あかりたちは光留の悩みに向き合い、「誰も取りこぼさない政治」のあり方を改めて示していく。
そして告示日に向け、チームあかりは700人規模のボランティア集めに挑戦。都知事選はさらに大きなうねりを見せ始めるのだった。
最初は「選挙チーム」だと思っていた
振り返れば、これまでも仲間は増えてきた。
五十嵐が加わった。
蛍が戻ってきた。
透も仲間になった。
しかし、そのときは特に水滸伝を連想しなかった。
なぜなら、選挙を戦うために必要な人材が集まっているように見えたからだ。
候補者がいて、参謀がいて、元市長がいて、情報発信役がいる。
選挙ドラマとして考えれば自然な流れである。
ところが第8話の光留は少し違った。
もちろんレジェンド声優がウグイスさんになれば心強い。
だが、いなければ選挙が成立しない人物かと言われればそうではない。
それでも彼女は、あかりたちのもとへやって来た。
そして気づけば、仲間になろうとしていた。
その瞬間、自分の中で何かが変わった。
これは選挙チームではない。
梁山泊なのではないか、と。
『銀河の一票』は政策を集めているのではなく、人を集めている
水滸伝には、さまざまな事情を抱えた人々が集まる。
理不尽に傷つけられた者。
居場所を失った者。
才能を持ちながら理解されなかった者。
彼らはそれぞれ違う理由で梁山泊へたどり着く。
『銀河の一票』も少し似ている。
蛍には蛍の傷があった。
透には透の喪失があった。
雨宮には雨宮の孤独があった。
そして光留には、AIによって自分の声が奪われるかもしれないという恐怖があった。
面白いのは、あかりたちが最初に政策を語るわけではないことだ。
まず話を聞く。
何に困っているのかを聞く。
そして、その人の悩みを社会の課題として考え始める。
だから『銀河の一票』は政策を集めているようでいて、実は人を集めている物語に見える。
第8話で発表された「8つの安心」も、誰かが会議室で考えた公約というより、これまで出会ってきた人たちの人生から生まれた言葉に思えた。
誰が宋江なのかは分からない
ここまで考えていると、登場人物を水滸伝の好漢たちに当てはめたくなる。
五十嵐は呉用だろうか。
蛍は林冲だろうか。
透は武松だろうか。
流星は楊志だろうか。
そんなことを考えるのも楽しい。
ただ、正直なところ答えは分からない。
そして、たぶんそこは重要ではない。
私が水滸伝を思い出した理由は、誰が誰に似ているからではない。
傷ついた人が、また一人やって来たからだ。
そう考えているうちに、以前見たWOWOWドラマ『水滸伝』のことも思い出した。
自分があの作品で好きだったのも、豪傑たちの強さそのものより、「なぜ人が集まるのか」という部分だった気がする。
あかりは梁山泊そのものなのかもしれない
考えてみれば、あかりは不思議な存在である。
元市長でもない。
政治家でもない。
参謀でもない。
ただの元スナックのママだ。
それなのに人が集まる。
みんな違う理由であかりに惹かれる。
理想に惹かれる人もいる。
優しさに惹かれる人もいる。
覚悟に惹かれる人もいる。
でも結果として、みんなあかりのところへ来る。
だから、あかりは宋江なのか晁蓋なのか、そんなことよりも。
もしかすると、あかり自身が梁山泊なのかもしれない。
傷ついた人が少し休める場所。
弱っていることを隠さなくていい場所。
そして休んだあと、「じゃあ私も手伝おうかな」と思える場所。
第8話を見ながら、そんなことを考えていた。
次にこの梁山泊へ流れ着くのは誰なのだろう。
風間かもしれない。
あるいは、まったく別の誰かかもしれない。
少なくとも今の自分は、その瞬間を少し楽しみにしている。
