2026年3月6日に放送された『元科捜研の主婦』第8話の、ネタバレを含む感想をまとめました。
今回は、これまで少しずつ描かれてきた7年前の「厚木・窒素ガス殺人事件」と、道彦の兄・修一の死の真相に大きく踏み込む回。
修一が残したSDカードから、当時の捜査では見つからなかったメールや事件の記録が明らかになり、道彦と詩織が協力して再び事件を追い始めます。
そして詩織は科学の力で、修一の死が単なる事故ではなかった可能性を突き止めることに。
事件そのものはまだ解決しないものの、最終回直前らしく一気に話が動き、個人的にはこれまでの中でもかなり見応えのある回でした。
ここから先、ネタバレを含みます。
厚木・窒素ガス殺人事件
マイクロバイオ研究所で、部屋に液体窒素がまかれて研究員3人が窒息死した事件。
容疑者は研究所の元研究員・松井直也。
松井は事件の少し前から復職を希望して、研究所の元上司・三沢と連絡を取り合っていた。
松井の証言では事件当日、三沢に呼ばれて14時に研究所を訪れ、30分ほど研究室の隣にある研究準備室に滞在して帰った。
防犯カメラ映像も残っている。
夕方5時の退社時刻を過ぎても誰も出てこないのを不審に思った警備員が、三沢を含む3人が倒れていることに気づいた。
3人はすでに死亡していた。
現場の隣の準備室にもともとあった液体窒素用の50リットルボンベが空になっていたこと、瞬間的に研究室の温度が下がった形跡が見つかったことから、死因は液体窒素をまかれたことによる窒息死と判断された。
その後の捜査で3人の死亡推定時刻は14時から15時だとわかった。
その時間に研究準備室に出入りしたのは松井だけ。
さらに研究所のゴミ箱から、液体窒素をまく際に使ったと見られる松井の革手袋、「松井直也」とペンで書いてあるものが見つかり、松井が逮捕された。
当初、松井は容疑を否認していた。
しかし厳しい取り調べの末、ついに犯行を認め自供した。
取調べをしているシーンでは、松井を調べていた人物の顔は映らない。
犯行の動機は、復職を断られたことの逆恨み。
そして自供した日の夜、松井は拘置所で自殺した。
松井の手袋から見つかった毛髪のDNA型鑑定結果も、松井のものと一致した。
事件は被疑者死亡のまま解決。
気になるのは、松井が取調べで自供した時の刑事の顔が絶妙に映らないこと。
背格好を考えると捜査一課長・金田なのかな?
一課長は直接取り調べなんて通常しない?
小沢所長が捜査一課から科捜研に異動したのはいつなのか?
刑事時代の小沢ってこともあるのか?
あともう1つ。
犯人が松井なら、自分の名前の書いてある革手袋を研究所のゴミ箱に捨てるか?
そしてその手袋から都合よく松井の髪の毛が見つかる?
松井はなぜ拘置所で自殺したのか?
無実なら出産を控えていた奥さんがいるのに、なぜ?
殺害された?
怪しすぎる手塚
「厚木・窒素ガス殺人事件」の資料を持ち出し、調べ始める道彦。
防犯カメラの記録データ、DNA型鑑定書、革手袋、捜査資料。
そして証拠保管ボックスの底に、SDカードが隠してあった。
このSDカードの中には、修一がまとめた事件の記録が入っていた。
この情報と修一の手帳をもとに、道彦と詩織は協力して調べていく。
道彦は7年前の事件現場であるマイクロバイオ研究所へ、当時捜査に協力してくれた研究員・手塚達郎に会いに行く。
そこで、手塚と松井、松井の妻・美里は同期だったこと。
松井はプロジェクトリーダーだった時に体を壊して研究所を辞め、美里も辞めたこと。
今は手塚がプロジェクトリーダーをしていることなどがわかる。
この手塚は、道彦に液体窒素を使った殺人方法について、
「特殊と思われるかもしれませんが、あれほど確実な方法はありませんよ。部屋に大量の液体窒素をまかれたら気づいたときには手遅れです。反撃もされないから自分に危険が及ぶ心配もない」
と話す。
さらに、何か思い出すことがあれば……と渡した道彦の名刺を見て、
「吉岡さんって刑事さん、前にもいらっしゃいましたよね。たしか事故で亡くなった……」
と聞く。
道彦が「ええ、兄です」と答えると、「そうですか、弟さん……」とちょっと口角が上がる。
今回初登場の手塚は、かなり怪しげな演出。
7年前の事件の刑事の苗字を覚えてる?
そしてその刑事が事故で亡くなったことまで知ってる?
修一が大事なSDカードを証拠保管ボックスの底に隠してたのは、警察内部の誰かを警戒していたから?
だとしたらもっと安全なところに保管してくれないと、弟が見つけたから良かったものの……。
実在した証言を裏付けるメール
松井は事件のあった日、元上司の三沢さんから話があるとメールをもらって研究所に行ったと証言したが、警察はそれを松井のウソだと判断した。
松井のスマホにそんなメールはなかった。
SDカードによって、修一は松井のスマホを民間の科学総合鑑定所に出し、データ復元を依頼していたことがわかる。
そして復元されたデータには、メールがあった。
三沢光春から松井直也へ送られた、事件前日の12時35分のメール。
内容は「復職の件について」。
翌日14時に研究準備室へ来てほしい、復職の件で話があるというものだった。
警察は松井の証言を裏付けるために、スマホのデータを復元しなかったのか?
そもそもこのメールがなんか変な感じ。
復職がOKということを直接伝えるために呼び出したのか?
断るなら、こんな内容のメールで呼び出すことはないのでは?
メールを送ったのは三沢ではなく、手塚とか?
もしくは、メールを発見した手塚はプロジェクトリーダーになるために松井に復職されたら困るから、三沢を含む3人を殺し、その罪を松井に着せようとした?
亮介との実験でひらめく詩織
亮介に結露の仕組みを実験しながら説明していく中で、液体窒素から液体酸素へと話がつながり、詩織はある可能性についてひらめく。
結露の水は空気中の水蒸気。
空気の中には酸素、二酸化炭素、水蒸気などがあり、一番多いのが窒素。
窒素を液体にした液体窒素はマイナス196℃で、物を一瞬で凍らせることもできる。
しかし、とても危険なものでもある。
液体窒素は人を息苦しくさせたり、酸素を冷やして液体酸素にすることも……。
実験の結果……。
「吉岡修一警部補が爆発事故にあった際の資料です。調べた結果、単なる事故ではないことがわかりました」
と、科捜研所長&副所長を前に説明をする詩織。
まず倉庫に大量の液体窒素がまかれた。
液体窒素によって冷やされた室内では、気体の酸素が液体酸素になり、その周辺の酸素濃度を高める。
つまり、燃えやすい空間が生まれる。
液体酸素に揮発性が高く引火しやすいベンゼンが混ざると危険な爆薬になり、そこに静電気放電などの火花が散るだけで爆発が起きる。
つまり何者かが意図的に、ガス漏れ検知器が鳴らない爆発方法を考え、それを実行した可能性があるという。
今回ようやく、修一は事故ではなく、誰かに計画的に殺害されたということが科学の力で明らかになった。
第8話を見てみて
第1~7話まで見てきて、やはり初回の第1話が良かったけれど、今回の第8話はその次に面白かった。
なにしろ話がどんどん進み、テンポが良い。
道彦がSDカードを見つけたこと、調べるのに詩織が加わったことで、急激に話が進む。
初めて出てきた容疑者・松井、松井の妻・美里、2人と同期の研究員・手塚。
そして亮介との実験で詩織がひらめいたり、科捜研でどうしても調べたいという詩織を優しくフォローする夫・道彦。
そして何かを隠している所長・小沢。
ちょっと、ん??と思うところはあったけれど、それを凌駕する『元科捜研の主婦』の良いところが全部入りな話だったと思う。
あくまで筆者の想像だけれど……。
もし「厚木・窒素ガス殺人事件」の真犯人と、修一の事故死を装った殺人が同一人物の犯行なのだとしたら、液体窒素を使った犯罪ということもあり、それだけの知識がある人物だとすると、手塚???
2つの事件の犯人が同一人物でない、もしくは犯人が手塚でないなら、それもまた科学の知識がある人物……?
2つの事件の犯人は誰なのか?
小沢所長の隠していること、副所長は何か関係があるのか?
捜査一課は何かを隠蔽しようとしているのか?
いよいよ来週は最終回。
「厚木・窒素ガス殺人事件」の容疑者・松井が冤罪なら、呼び出しメールを警察はなぜ見つけることができなかったのか?
松井はなぜ拘置所で自殺したのか?
事件当日の防犯カメラ映像のトリック、修一を事故死に見せかけて殺害した計画の全容など、伏線回収が楽しみ。
ラス前の今回が面白かっただけに、最終回への期待は高まる。

