今回のサブタイトルは「覚醒」だった。
けれど見ているあいだ、私はずっと「崩壊」の物語を見ている気がしていた。
きっかけは小さな出来事だった。
売人が刺される。
それは恋人を守ろうとした衝動だった。
そこから歯車が狂い始める。
自首。
警察。
逃走。
そしてリッカの転落。
ドミノの最初の一枚が倒れると、
あとは止まらない。
マチが壊れる。
マチが死ぬ。
冬橋が壊れる。
その中心にあったのは、マチのあの言葉だった。
「もっと力があれば」
彼女が欲しかったのは、支配の力ではない。
守る力だった。
助けてと言ってきた子どもを、誰一人見捨てたくない。
ただそれだけだった。
けれどその願いは、あまりにも大きすぎた。
冬橋は言う。
人のせいにして生きてねえよ、マチは。
その通りなのだと思う。
マチは騙されたわけでも、利用されただけでもない。
彼女は自分で選び、自分の足でそこへ向かった。
だからこれは、被害ではない。
戦いだったのだと思う。
そしてその戦いの終わりを見たとき、
冬橋はもう元の場所には戻れなくなった。
壊れたのは、マチだけではない。
気がつけば、夏海が守ってきたものはほとんど崩れてしまった。
子どもたちの居場所。
仲間たちの関係。
信じていたもの。
それでも物語のタイトルは「覚醒」だった。
崩壊の先で、人は変わる。
もう戻れない場所へ踏み出す。
あの夜、壊れたのはマチだけではなかった。
冬橋もまた、元の場所へは戻れなくなった。

