日曜劇場『リブート』第1話を視聴した。
何が本当で、何が嘘なのか。
誰が生きていて、誰が死んでいるのか。
物語の序盤から、そんな不確かさに包まれた回だった。
本記事では、細かな考察というよりも、第1話を見て素直に感じたことを中心に書いていく。
※本記事は『リブート』第1話のネタバレを含む感想です。
物語の展開や印象的な出来事に触れていますので、未視聴の方はご注意ください。
見たものを信じてはいけない、という物語
今回一番強く印象に残ったテーマは、「目で見たものが、必ずしも真実ではない」という点である。
- 妻は本当に殺されたのか
- 白骨遺体は本当に夏海なのか
- 儀堂は本当に死んだのか
- 陸は加害者なのか、被害者なのか
映像と証拠は一見すると整っている。
DNA鑑定、歯の治療痕、指輪、日記、Nシステムの通過記録。
どれも「疑いようがない」材料として提示される。
しかし、あまりにも整いすぎている。
警察が描くストーリーは早い段階で完成しており、そこから外れる可能性は、最初から排除されているように見える。
その違和感が、視聴中ずっと消えなかった。
早瀬陸という主人公の危うさ
主人公・早瀬陸は、決して悪人には見えない。
むしろ誠実で、家族思いで、息子を大切にする父親である。
しかし同時に、言われたことを、そのまま信じすぎる人物にも見える。
警察の言葉、証拠、一香の説明、儀堂の言葉。
誰かが提示した「もっともらしい物語」を、自分で疑う前に受け入れてしまっているように感じた。
その姿は、視聴者自身にも重なる。
ドラマを見ているこちらもまた、提示された映像や情報を疑わずに受け取っているからだ。
幸後一香という存在の不気味さ
幸後一香は、味方なのか、利用者なのか、それとも別の何かなのか。
第1話では、その輪郭が意図的に曖昧に描かれている。
儀堂の恋人だったという告白。
マネーロンダリングの知識。
陸に「リブート」という選択肢を提示する冷静さ。
どれもが説得力を持って語られるが、彼女自身の言葉を裏付ける確かな証拠は、ほとんど示されていない。
それでも陸は、彼女を信じるしかなかった。
信じなければ、家族のもとへ戻る道が閉ざされてしまうからだ。
家族という、唯一の現実
この物語で、唯一揺るがないものがあるとすれば、それは陸と拓海の関係である。
逃亡前、公園で別れるシーン。
「必ず戻ってくる」と約束する場面。
そして、儀堂として復活した後も、ネックレスに通した指輪を握りしめる姿。
陸が耐え続けているのは、正義でも復讐でもなく、家族のもとへ帰るためである。
個人的には、どんな結末であっても、最終的に陸が家族の元へ戻れる物語であってほしいと願っている。
鈴木亮平の一人二役が、物語の説得力を支えている
本作でもう一つ強く印象に残ったのが、主演の鈴木亮平が演じ分ける早瀬陸と儀堂歩の存在感である。
設定上は「同一人物が別の顔になる」物語だが、視聴していて混乱することはほとんどなかった。
それどころか、画面に映った瞬間に「あ、今は陸だ」「ここからは儀堂だ」と直感的に分かる。
それは単なるメイクや髪型の違いではない。陸のときは、視線が下がり気味で、声に迷いがあり、感情が表に出やすい。
一方で儀堂として振る舞うときは、姿勢が違い、目線がぶれず、言葉の間にも余裕がある。
同じ顔でありながら、「立っている世界」が明確に違って見える。
この演じ分けがあるからこそ、視聴者は「陸が儀堂になった」という設定を疑わずに受け入れられる。
もしここが少しでも曖昧であれば、物語そのものが成立しなくなっていたはずだ。
また、一人二役という仕掛けが単なる話題作りに終わっていない点も好印象だった。
陸と儀堂の差は、「人は立場と環境によって、ここまで変わってしまうのか」という作品全体のテーマとも深く結びついている。
物語のトリックだけでなく、俳優の演技そのものが、作品のリアリティを担保している。
その意味で、この配役は非常に贅沢で、かつ必然だったと感じた。
派手さはないが、物語を信じさせるための演技だったと思う。
第1話終了時点で気になる謎
現時点で、明確な答えは何一つ出ていない。初回だけあって謎は多い。
- 妻・夏海を殺したのは誰なのか
- 夏海は本当にマネーロンダリングに関わっていたのか
- 儀堂は本当に死んだのか
- 陸は最終的にどうなるのか
- 警察内部の裏切り者は誰なのか
ただ一つ言えるのは、今見えている情報を、そのまま信じてはいけないドラマだということだけである。
まとめ|「分からない」ことを楽しむドラマ
『リブート』第1話は、伏線回収や謎解きを楽しむというより、「分からない状態」を受け入れられるかどうかを試す回だった。
誰が善で、誰が悪なのか。
誰が生きていて、誰が死んでいるのか。
その境界線は、意図的に曖昧にされている。
この混沌が、今後どう収束していくのか。
考察好きにはたまらないが、感情で追いかける視聴者にも刺さる余地は十分にある。
まだ何も分からない。
けれど、分からないまま見続けたいと思わせる初回だった。
真実が明らかになるのか、それともさらに分からなくなるのか。次回も見届けたい。

