※本記事は『シリウスの反証』第4話のネタバレを含む感想です。
物語の展開や印象的な出来事に触れていますので、未視聴の方はご注意ください。
第3話で描かれた東山の死は、「シリウスの反証」という物語の重心を大きく動かした出来事だった。
第4話を見終えて、事件の構造よりも強く残ったのは、人が動く理由の曖昧さだった。
正義のために動いているように見える人も、
保身のために動いているように見える人も、
突き詰めれば、同じ場所から出発しているのではないか。
今回の再審請求は、「正しいか/間違っているか」という単純な話ではなく、それぞれの“欲”がぶつかり合った結果だったように思う。
※本作のこれまでの流れや事件整理については、第1話・第2話・第3話の感想もあわせて読むと、東山の立ち位置がより見えてきます。
※本作『シリウスの反証』はWOWOWで放送・配信されています。
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東山はなぜ「今」再びこの事件を見たのか
東山は、子どもの頃に真犯人を見ていた。
右腕にやけどの痕がある男を、確かに目撃していた。
それなのに、なぜ今になって吉田川事件を扱ったのか。
この疑問は、第4話でも完全には答えられていない。
考えられる理由はいくつもある。
- 子どもの記憶として、長く封じ込めてきた
- 弁護士として多くの冤罪事件に触れる中で、過去と向き合わざるを得なくなった
- 宮原の死刑執行が現実的な期限として迫ってきた
だが、どれも決定打にはならない。
むしろ重要なのは、東山自身も「なぜ今なのか」を言語化できていなかったのではないか、という点だ。
だからこそ彼女は、確証を得る前から走り出し、そして間に合わなかった。
彼女の行動は理性的というより、贖罪と焦燥に突き動かされたものに見えた。
冤罪証明は証拠ではなく“選択”になっている
第4話で、物語は残酷な事実を突きつける。
最終的に冤罪を証明できるかどうかは、弁護側の努力よりも、検察が持っている手提げ金庫の指紋にかかっているという現実だ。
もしその証拠が残っていて、もしそれが開示されれば、宮原は救われる可能性がある。
だがそれは、弁護士が必死に戦った結果というより、「消さないでくれるかどうか」という選択に近い。
つまりこの物語は、
- 正義が勝つか
- 悪が裁かれるか
ではなく、
- 良心が残っているか
- 都合の悪い真実を見なかったことにできるか
という問いを突きつけている。
再審請求とは、本来「法の力」で戦うもののはずなのに、ここでは人の心の在り方に委ねられている。
その歪さが、この物語の怖さでもある。
「欲」とは何か|衣川のセリフの重み
今回、最も心に刺さったのは衣川のセリフだった。
欲はね、活力なんだよ。恥じらずに受け入れなさい。
この言葉は、一見すると開き直りにも聞こえる。
だが同時に、非常に正直でもある。
冤罪を証明したいという想いも、突き詰めれば「救いたい」「正したい」という欲だ。
一方で、
- 事件を終わらせたい
- 面倒なことを蒸し返したくない
- 自分の立場を守りたい
これらもまた、同じく欲である。
衣川は、正義と保身を同じ土俵に引きずり下ろした。
そして第4話は、その言葉を裏付けるように進んでいく。
欲が暴いた“正義と保身の境界”
今回の再審請求を見ていると、誰か一人が絶対的に正しく、誰かが完全に間違っているようには見えない。
- 東山は、過去への贖罪という欲に突き動かされ
- 藤嶋は、東山の意思を継ぎたいという欲を抱え
- 検察側は、過去の判断を覆したくないという欲を守り
- 政治家は、影響力を強めたいという欲を優先する
それぞれの欲が、同時に存在している。
だからこそこの物語は、単なる勧善懲悪にならない。
再審請求とは、正義のための制度であると同時に、人間の欲望がむき出しになる場なのだと、第4話は静かに示していた。
まとめ
第4話は、真相に大きく近づいた回であると同時に、「人はなぜ動くのか」という問いを突きつけてきた回だった。
正義も、良心も、保身も、隠蔽も、すべては欲から生まれる。
その中で、どの欲を選ぶのか。どこで踏みとどまるのか。
最終回は、事件の決着以上に、誰の欲が、どこで折れるのかを見届ける話になるのかもしれない。
「シリウスの反証」は、回を追うごとに“正しさの輪郭”が変わっていくドラマです。今後も各話の感想は、こちらでまとめていく予定です。
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※本作『シリウスの反証』はWOWOWで放送・配信されています。
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