2月10日に配信開始されたNetflixの映画『This is I』(ディスイズアイ)を見てみたので、ちょっとネタバレを含む感想をまとめました。
はるな愛さんの半生を描いた実話に基づくストーリーを様々な言語で楽しむことができるNetflixの映画でまさに世界に向けての配信、楽しみにしていました。キャスト・あらすじなどは→Netflix
内容に関してはあまり詳しくは書きませんが、少しネタバレ含む感想と気になったことを書いていきます。
ここから先、ネタバレを含みます。
望月春希さんの光る演技
この作品を見る前に一番気がかりだったのは、男性として生を受けたアイ(ケンジ)が子供の頃からアイドルに憧れ、後に性別適合手術を受け…と、どう考えても難しそうな役を誰がどんな風に演じるのか、大丈夫?ということ。
しかしそれは杞憂だった。
アイ(ケンジ)を演じたのは望月春希さん。線が細くて色白で可愛らしいルックスはもちろんのこと、ばっちりマスターした振り付けでアイドルの曲を踊るさまは、女の子なんだけれど女の子とは違うような独特の雰囲気でまさに魅惑の世界観を作り出していた。
女の子以上に女の子
どんな感じで話が進むのかなと思っていたら、小学生のころから高校生までの間は割と駆け足で進み、高校を中退してからの話が大部分。
主人公のアイ(ケンジ)は、男性として生を受けるが子供の頃から女性アイドルに憧れ、色はピンク、フリルやキラキラした可愛らしいものが好き、と女の子以上に女の子っぽくてびっくり。(筆者は姉妹の姉だけれど、妹も含め全くそうではなかった)
ちょっと、ん?と思ったりする部分はあったけれど、80年代〜90年代にかけての部屋のインテリア、服装がなんとも懐かしいような感じで楽しい。
同棲と別れ
アイが初めて同棲することとなったタクヤ。彼の親族に「別れてほしい」と言われ、その後、大好きなタクヤに「なぜ?なんで?」と問われながらも、一言も理由を告げず、ただ「私は東京に行くの」と荷物をまとめて部屋を出ていくシーンはなんとも切ない。
言いたいことも話したいこともたくさんあっただろうけれど、全てを飲み込みきっぱりと身を引く潔さはまだ若いのにすごいなと思ったし、アイの強さと優しさを感じた。
和田医師の葛藤
アイに頼まれ、悩んだ末、アイの性別適合手術をした斎藤工さん演じる医師の和田耕治さんの話はこれまた切ない。
医師とは何なのか?自分の進むべき道を自問自答し、アイに出会うことで当時タブー視されていた性別適合手術をするまでの葛藤やその後に手術をした1人の患者が亡くなってしまったこと、生涯で600人の性別適合手術したこと…人として医師として…と、とても考えさせられた。
エア・ミュージカル?
一方で、途中で突然人がわらわら現れてミュージカルのように懐かしい当時流行っていた曲に合わせてアイとみんなが踊りだす軽快な演出が複数回ある。
正直この手の演出があまり得意でない筆者はちょっと「うわぁ…」となったけれど、その効果もあってか全体を通してポップな感じになっているので、アイ(ケンジ)自身の葛藤、そして家族の思い、最大の理解者である和田医師の死など、内容としては決して明るいわけではないけれど、見終わった後にそんなに暗い印象ではないのがなんとも不思議。
適材適所の好キャスト
アイの母役に木村多江さん、父親役・千原せいじさんは、親としての思いや心の揺れを繊細に演じ、そして要所要所でアイに伝える言葉が印象的なショーパブのママを演じる中村 中さんも素晴らしい。
また、和田のクリニックの看護師・裕子をMEGUMIさん、和田の医療行為を監視する刑事・鶴久役の中村獅童さんは出番こそ少ないが、その存在感が物語を引き締めていた。
まとめ
アイ(ケンジ)を演じた望月春希さんの演技がこの映画の大きな魅力の1つであるのは間違いないけれど、和田医師との出会いがアイの人生の中でとても大きな部分を占めていたこと、和田医師の医師としての葛藤などが描かれていたことがとても印象深かった。
もっとシリアスな感じの仕上がりにすることもできたのかもしれない話を、当時の流行歌やファッションなどでポップなテイストに仕上がっていたのは、ちょっと想像とは違ったけれど、それはそれで良いのかもしれない。
アイ(ケンジ)の幼少期から性別適合手術を受け、試行錯誤しながらも芸能界でブレイク、『ミス・インターナショナル・クイーン 2009』で優勝し、和田医師の墓前に報告するまでの話が約2時間ちょっと(130分)にギュッとまとまっているので、テンポよく話が進むのが好印象。何話かにわけてのドラマではなく、ドーンと1本で映画にしたのは大正解。
2026年の今、性別などに関してだいぶ世界も日本も変わってきているのだと思うけれど…いろいろなことを考えさせられる作品でした。
