先週に続き、WOWOW 連続ドラマW「1972 渚の螢火」第3話を見てみた、姉です。
WOWOW 連続ドラマW「1972 渚の螢火」 (全5話)の原作は坂上泉さんの同名小説。”本土復帰目前、混沌とした沖縄で繰り広げられるクライムサスペンス”。
第1話は11月3日の時点で「まるごと無料配信」中。
どんな感じのドラマなのかWOWOWさんのHPから引用させて頂きます。
1972年、本土復帰を間近に控えた沖縄で、100万ドルの米ドル札を積んだ現金輸送車が襲われ行方を絶った。円ドル交換が完全な形で遂行できなければ日米外交紛争に発展しかねないと、琉球警察はこれを秘密裏に解決する特別対策室を編成した。班長に任命されたのは警視庁派遣から沖縄に戻ってきた真栄田(高橋一生)。そのほか、同級生でありながら真栄田をライバル視する捜査一課班長・与那覇(青木崇高)、そして定年を控えたベテランの玉城(小林薫)をはじめとするたったの5人のメンバー。事件解決のタイムリミットは本土復帰までの18日間。捜査を進めるうちに、事態は沖縄財界や地元ギャング、さらには米軍関係者を巻き込み、二転三転していく……。真栄田らは期限までに100万ドルを取り戻し、犯人を捕らえることができるのか――。沖縄の未来を懸けた戦いが始まる!
WOWOW HPより
本編予告映像はこちら。
キャスト(敬称略)
- 高橋一生:真栄田太一(琉球警察・本土復帰特別対策室班長)
- 青木崇高:与那覇清徳(琉球警察・捜査一課班長)
- 城田優:ジャック・シンスケ・イケザワ(米軍・CID(アメリカ陸軍犯罪捜査局)の憲兵大尉)
- 清島千楓:新里愛子(琉球警察・本土復帰特別対策室の事務員)
- 嘉島陸:宮里武男(沖縄の不良グループ・宮里ギャングのリーダー)
- 佐久本宝:稲嶺コウジ(宮里ギャングのメンバー)
- 広田亮平:比嘉雄二(琉球警察・石川南署捜査課の捜査員)
- MAAKIII:伊波正美(コザの外れにあるバー・カリホルニヤの雇われママ)
- 北香那:真栄田真弓(真栄田太一の妻)
- Jeffrey Rowe:オーガスト・ミラー(在沖米国総領事館・二等書記官)
- 藤木志ぃさー:座間味喜福(琉球警察・本部長)
- ベンガル:喜屋武幸勇(琉球警察・刑事部長)
- 沢村一樹:川平朝雄(川平興業の社長で沖縄政財界の重鎮)
- 小林薫:玉城泰栄(琉球警察のベテラン刑事)
第3話「夜明け前」のあらすじは…
何者かによって再びコザの売春婦が惨殺された。刑事部長の喜屋武(ベンガル)が捜査は所轄のみで当たるように指示し、与那覇は上層部の不可解な対応に不信感を募らせていく。一方、「サザンクロス」の影のオーナーを探る真栄田は、沖縄屈指の実業家・川平(沢村一樹)の暗躍を知ることに……。さらに、正美(MAAKIII)の行動を監視していた対策室の面々は、ついに宮里らのアジトにたどり着くが、そこで事態は急変して――。
WOWOW HPより
ということで、早速どんな感じなのか見てみた。
内容に関してはあまり詳しく書きませんが、少しネタバレも含む感想を書きます。(原作の小説は未読です)
ここから一部ネタバレを含みます。
物語の流れとしては、会員制の高級サロン「サザンクロス」の影のオーナーが、川平朝雄(川平興業の社長で沖縄政財界の重鎮)であることをつきとめる。
現金強奪の容疑者・宮里と会っていると思われるバー「カリホルニア」の雇われママ・伊波正美を張り込むと動きがあり、真栄田・与那覇・比嘉の3人は宮里たちのアジトへたどり着く。
するとそこに川平があらわれ、アジトに合流するのを目撃、さらに少ししてガスマスクを着用し、機関銃で武装した4人がアジトを襲撃。刑事3人も拳銃を持ち、アジトへ向かうも時すでに遅し。宮里は強奪した現金を持って正美と共にその場を逃げ切ることに成功。襲撃が終わりアジトに残っていた無傷の川平に銃を向ける真栄田…という感じ。
川平とオーガスト・ミラーの関係は?
日本銀行那覇支店開設式典で川平は19年ぶりに沖縄に来たというオーガスト・ミラーに会う。ミラーは「沖縄は素晴らしい、食事も人も…特に女性がね。全て昔のままだ。ところで例の件はどうなりましたか?」と川平にきくと、「どうかご安心ください、お約束は必ずお守りし致します」とこたえる。
今回の話の中では「例の件」が何なのかはわからない。そして、琉球警察・本部長の座間味と刑事部長の喜屋武は式典に来ていたミラーを見つけ、様子をうかがっているので、もしかするとミラーは「娼婦連続殺人事件」に関係しているのかも??と思った。
それぞれの複雑な心境
特別対策室の事務員・新里愛子と真栄田の2人で張り込みをしている時にする話が興味深い。
新里
「両親はずっと基地の中で働いてきました。まわりもみんなそういう人たちばかり、私もそんな中で育って、多分アメリカに憧れて成長したんです。でも本土復帰で両親も友人たちも職を失うんじゃないかって心配してて…真栄田さん、沖縄にとって本土復帰ってホントにいいことなんでしょうか?私わかんないです、頭ではわかってるんです、でも、モヤモヤするっていうか…」
真栄田
「新里にはアメリカ、与那覇には沖縄…俺は…石垣から沖縄にきたら「いぇーまんちゅ」(八重山の人)とばかにされ、本土に行けば「うちなーんちゅ」(沖縄の人)と蔑まれ、また沖縄に戻ってみれば「ないちゃー」(沖縄以外の出身者)って、本当に忙しい…」
本土復帰に複雑な心境の新里の質問に真栄田は直接の返答はしないかわりに、自分の置かれている状況を話す。ドラマの中で沖縄の言葉に翻訳がないのでなんとなくで見ているのだけれど、真栄田の()内の訳は見た後に調べました。
今回も沖縄の言葉がたくさん出てきて、意味がよくわからないものもあったのがちょっと残念。
コザ騒動
与那覇が交際していた女性と別れてしまった状況を真栄田に話す時に出てくるのが「コザ騒動」。
しらべてみると、ウィキペディアでは「コザ暴動」と出てくる。沖縄ではコザ騒動、コザ事件、コザ騒乱と呼ぶことがあるようで…一部抜粋させていただきます。
コザ暴動(コザぼうどう、英語: Koza Riot)は、1970年(昭和45年)12月20日未明、アメリカ施政権下の沖縄のコザ市(現在の沖縄県沖縄市)で発生したアメリカ軍車両および施設に対する焼き討ち事件である[3]。直接の契機はアメリカ軍人が沖縄人[注 1]をひいた交通事故だが、背景に米施政下での圧制、人権侵害に対する沖縄人の不満があった。
地元の沖縄では、「暴動」ではなく地元新聞2紙の記事ではコザ騒動(コザそうどう)、またコザ事件(コザじけん)、コザ騒乱(コザそうらん)と呼ぶこともある
ウィキペディア「コザ暴動」より
警察官としてこの騒動を鎮圧するため駆り出された与那覇は、群衆の中にいる当時付き合っていた女性に会ってしまう。
女性に「あんた何やってんの?どっちの味方?うちなーんちゅでしょ!恥ずかしくないわけ?なんか言え!」と言われ、与那覇は「それに答えられなかった。自分は何を守っているのか、もうわからなかった」ということで、女性とはうまくいかなかった。
ドラマの中では当時のアメリカと沖縄の人々との複雑な状況を、垣間見ることができるけれどよくわからなかったことがたくさんあって、見たあとに調べたりして勉強になる。
武装した4人の襲撃
現金強奪に成功した宮里ギャングのメンバーたちの潜むアジトでは、1953年5月に亡くなった(殺された)「ねーねー」(宮里の姉・シズ)の命日に第2話での祖先を供養するお祭り「清明祭」を彷彿とさせる紙を燃やして…というシーンがある。ドラマの中は1972年が舞台なので1953年の5月つまり、ちょうど19年前に宮里の姉は殺害されていたことになる。
この時に紙を燃やしたのは宮里武男、そして合流した伊波正美、川平朝雄の3人。その後アジトに武装した4人が来るのだけれど、これがかなり襲撃に手慣れた感じで重装備。ガスマスク、機関銃、催涙弾、ガスをまき、容赦なくバンバン撃つ。
日本人なのか、米軍関係者なのかわからないがチームて襲撃するのに慣れた感じ。宮里の仲間の1人は手榴弾で襲撃に来た1人をしっかりと抱えたまま自爆…
襲撃を受けても紙を燃やしていた宮里武男、伊波正美、川平朝雄と、負傷するも宮里ギャングの稲嶺コウジは生き残る。襲撃に来た1人は手榴弾で死んでいると思うが他の3人がどうなったのかはわからない。
ほぼ無傷の川平は高級会員制のサロン「サザンクロス」のオーナーで、現金輸送車のルートを知るために銀行員に仕組んだ「美人局」のきっかけを作ったのも「サザンクロス」で出会った女ということなので、川平が裏で糸を引いていて、最初からこの襲撃も計画していたのではないかと思われる。多分襲撃の際に警察官が来ていたことは誤算だが…そして共に計画を実行していた宮里は襲撃されることを知らなかった感じ。
第3話を見てみて
ドラマの中では女性がバナナを買う時に日本円で払うのだけれど、銀行では1ドル305円、店では1ドル360円とギャップがあるので損してしまう…とか、本土復帰に複雑な思いを抱く新里、「コザ騒動」で恋人と別れてしまう与那覇などなど当時の沖縄の状況をドラマを通して少しだけでも感じることができるのはとても勉強になる。
出産をひかえ実家(東京)に戻っている真栄田の奥さんは「東京ではニュースで沖縄の話題はそんなに時間が割かれていないし、復帰10日前っていう実感はわかない、みんな関心が薄いみたい」と話すと真栄田は「そうか…」と答えるシーンでは、沖縄に住んでいる人たちと、沖縄以外の人たちとの温度差がすごくあったのだろうということがよくわかる。
さて、第3話では現金強奪事件に関しては結構話が動く。娼婦殺人事件に関しては初登場したミラーがいかにも怪しいという感じにはなるが、それ以上の進展はない。
宮里の姉が殺害された事件は19年前、事件現場に警察の制止を振り切り、「青年」と弟の宮里武男が駆けつけるのだけれど、この「青年」がどうやら川平っぽい。
その事件現場には現在の琉球警察・本部長の座間味と刑事部長の喜屋武もいた。そしてその2人はここ最近の娼婦連続殺人の捜査に制限をかけて19年ぶりに沖縄に来たミラーを怪しいと思っている。
そしてミラーと川平は何やら計画を立てているようだけれど、それが何なのかはまだわからない。
あくまで推測だが、例えばミラーが宮里の姉を殺した犯人で、「青年」が姉と交際していた川平だったとすると、弟と一緒にミラーに復讐しようと何か計画しているのか?現金強奪事件はミラーをアメリカ本土から沖縄にこさせるためのエサ?そして連続娼婦殺人事件の犯人もミラー?
真栄田が言っていた「自分たちが思っている以上に大きな力が働いているのかもしれない」という現金強奪事件と娼婦連続殺人事件にはつながりがあるのか?
アメリカ人・ミラーが出てきたので、そろそろ米軍・CIDのイケザワが登場しそうな気がする。
沖縄本土復帰まであと7日。
次週の展開が楽しみだ。
【第1話まるごと無料配信】連続ドラマW 1972 渚の螢火【WOWOW】(11月3日現在)

