日本版「怪物」第10話(最終話)とオリジナル韓国版「怪物」の第15・16話(最終話)を見てみた、姉です。
WOWOW 連続ドラマW「怪物」は 全10話。そしてWOWOWではオリジナル韓国版(以下、韓国版とします)の全16話を見ることができる(2025年9月30日まで)。
ということで、日本版の第10話は韓国版と比べてどんな感じになるのか楽しみにしていた。
日本版の第10話のあらすじはWOWOWさんのHPから引用させていただきます。
正義の本性と琴音の死の真相を知り、その事実を富樫に告白する真人。富樫は自分ひとりで決着をつけようとする真人をなだめ、森平や翔子たちとともに事件の最終的な解決へと乗り出す。一同は正義とつながりを持つ中橋と加代から真相を聞き出そうとするが……。そして覆い隠されていた真実が明るみに出る時、富樫と真人は互いに決断を迫られる。人の心に巣食う“怪物” ――その正体をあぶり出した先に待ち受ける結末とは――。
WOWOW ドラマW「怪物」より
日本版の主役2人は安田顕さん演じる富樫浩之、水上恒司さん演じる八代真人。
韓国版では富樫=ドンシク(シン・ハギュンさん)、八代=ジュウォン(ヨ・ジングさん)。
以下それぞれを富樫・八代、ドンシク・ジュウォンとします。
そして今回の話の中心となる人物は、日本版の羽多野署の警務課・田所幹男(藤森慎吾さん)、幹夫の母で県議会議員・田所加代(高畑淳子さん)、「中橋建設」社長・中橋陽平(橋本じゅんさん)、八代の父で警察庁次長・八代正義(渡部篤郎さん)。
韓国版ではムンジュ警察署捜査支援チーム員、庶務班長パク・ジョンジェ(チェ・テフンさん)、ジョンジェの母で市議会議員ト・ヘウォン(キル・ヘヨンさん)、JL建設代表イ・チャンジン(ホ・ソンテさん)、ジュウォンの父で警察庁次長ハン・ギファン(チェ・ジノさん)。
内容に関してはあまり詳しく書きませんが、日本版と韓国版のちょっとした違いや、少しネタバレを含む感想を書きます。
まず最初に、日本版は全10話、韓国版は全16話と6話韓国版の方が長いので、日本版の第10話が韓国版の第15話「離す」、第16話「つかむ」とほぼ同じ内容になる。※韓国版にはエピソードタイトルがあります。
そして第10話の日本版は51分で、韓国版の第15話が1時間01分、第16話が1時間19分なので計140分。韓国版の方が89分長い。
時間の長さが違うので当たり前だけれど、韓国版のほうが全体的に細かい人物像や状況まで描かれている。細かい部分はさておき、気になった部分について少し書きます。
以下、少しネタバレ含みます。
主役2人の所属が違う
あくまで一連の事件が解決するまでの所属だけれど…
前回、ドンシクは警察庁次長のハン(ジュウォンの父)によばれ、ソウル庁監察調査係に移動となり、今回でジュウォンも同じ課に移動させてもらう。
日本版の富樫は羽多野署から移動なし、八代は警察庁に戻るようになるのだが、どの課に行ったのか不明。
ギターピックに関わる話が違う
韓国版では最初の葦原で遺体が発見された現場にあったギターピックに、議員の息子の指紋がついていることが判明すると、母親はその鑑定書を処分する。
そのために動いた警察内部で関わった人物も複数人いて複雑なのだけれど、日本版でその話は出てこない。
署長と所長の違い
日本版で連続殺人犯の留置場の防犯カメラ映像を改ざんし、殺害されるのは、羽多野署・署長の秋山(利重剛さん)。
しかし、韓国版ではマニャン派出所・所長のナム・サンベ(チョン・ホジンさん)は防犯カメラ映像を改ざんしていないが、真実に近づいたことで少し前に(第10話)殺害され、カメラを改ざんしたムンジュ警察署長のチョン・チョルムン(チョン・ギュスさん)は、第15話で殺害される。
建設会社社長(代表)2人の違い
日本版の中橋建設社長・中橋は、連続殺人犯の留置場での自殺幇助と羽多野署・署長の秋山を殺害。
韓国版のJL建設代表イ・チャンジンは、連続殺人犯の留置場での自殺幇助、マニャン派出所・所長のナム・サンベとムンジュ警察署長のチョン・チョルムンの2人を殺害している。
日本版は次長のまま
日本版の八代の父・警察庁次長の正義が逮捕された時の肩書は「次長」で「長官」ではない。
韓国版のジュウォンの父 ハン・ギファンは、正式に警察庁の「長官」になってから逮捕される。
日本版でも韓国版でも「僕が怪物になって 父を抱きかかえて 最も高い場所から一緒に地獄へ落ちます」というセリフがあるのだけれど、最も高い場所=警察庁「長官」ならば、韓国版の方がふさわしいセリフのような気がする。
最終話で八代は活躍
最終話にして初めて八代は父親に録音データを聞かせる時や、最後のシーンでネクタイをせず、少しだけラフな服装になっていた。
もちろん富樫や周りの人の協力あってのことだけれど、結構1人でも頑張っていたように思う。録音データを利用して父親や中橋に揺さぶりをかけたり、自殺しようとする父親を間一髪でとめ、妹を殺された富樫に手錠をかけさせたり最後になってちゃんと活躍した。
ちなみに日本版の父親は薬を飲んて自殺しようとするが、韓国版は拳銃で自殺しようとする。
終わり方がだいぶ違う
日本版では八代の父親が逮捕されるシーンはあるけれど、羽多野署の警務課・田所幹男、幹夫の母で県議会議員・田所加代、「中橋建設」社長・中橋を含め、最終的にどうなったのかわからない。
韓国版では、それぞれの一審の判決などがニュースで流れるシーンがある。※日本版とは一部犯した罪が違いますが、参考まで。カッコ内は日本版の該当人物名。
・ジュウォンの父で警察庁長官ハン・ギファン(八代の父で警察庁次長・八代正義)
無期または20年以上の懲役
・JL建設代表イ・チャンジン(「中橋建設」社長・中橋)
一審判決・無期懲役
・ジョンジェの母で市議会議員ト・ヘウォン(幹夫の母で県議会議員・田所加代)
一審判決・懲役9年→控訴する
・市議会議員の息子パク・ジョンジェ(県議会議員の息子・田所幹男)
一審判決・懲役3年→控訴せず
・ドンシク(富樫)
懲役1年、執行猶予2年
・ジュウォン(八代)
不起訴
そしてエンドロールの途中、以下のようにドンシク&ジュウォンのナレーションが入る。
”彼らを家族の元へ”
韓国では所在不明の成人の失踪者は家出として処理されます。
彼らが家族の元へ帰れるように小さな手がかりでも見つけたら、近くの派出所に通報してください。
電話での通報:◯◯◯
電話での相談:◯◯◯
メールでの相談:◯◯◯
日本版と韓国版の全話を見て
日本版は少ない話数、時間でサクサク見れて良いと言えば良いと思うのだけれど、韓国版を見ちゃうとやっぱり韓国版の方が良かった。
日本版の最後のシーン(韓国版の最後のシーンは全く違います)で八代が「みなさんが待ってます、必ず来てくださいね。」と警察官の制服を着た富樫に言うシーンがあるのだけれど、
この「みなさん」というのが、どうもしっくりこない。時々みんなで食事したりしていたけれど、日本版ではそんなにつながりが強いようには思えなかった。
一方の韓国版は、頻繁に皆で食事するし、日本版では出てこないが所長が亡くなった時の皆のショックは相当なもので、お葬式のシーンまで出てきたりすることもあり、みんなのつながりを深く感じた。
ただ、富樫は逮捕され、その後どのような処分がくだされたかわからなくても、最後に警察官の制服を着ているので日本版では富樫が警察官を続けていることがわかるのだけれど、
韓国版では逮捕されたドンシクが懲役1年・執行猶予2年という判決をうけたあと、久しぶりに皆と食事をする時に私服で参加していて、どこで何をしているか本人も皆も言わないので、今でもどこかで警察官を続けているなのかよくわからなかった。
全話を見てみて、話数も時間数も全然違うのでそのそも比べるのは酷な話だとは思うし、両方の役者さんもそれぞれに素晴らしいのだけれど…
登場人物たちの「怪物」ぶりが韓国版のほうが強く、またいろんな意味で「怪物」と呼べるような人たちが日本版よりも多く出てくる。
頻繁に出てくる食事のシーンでは、結束やつながりの深さなど印象的に描かれていて、緻密で繊細なそれぞれの人格の描き方、そしてどっしりと重みのあるストーリー展開…
そしてなんと言っても、最後に罪を犯した人たちの判決の結果などがわかる終わり方は、やはり韓国版の方が良かったように思う。
WOWOWではオリジナル韓国版の全16話を2025年9月30日まで見ることができるので、日本版を見て気になった方はこの機会にぜひ。