日本版「怪物」第9話とオリジナル韓国版「怪物」の第13・14話を見てみた、姉です。
WOWOW 連続ドラマW「怪物」 (全10話)は、第1話のみならず第2話まで無料配信中(YouTubeでまるごと無料配信中)。
そしてWOWOWではオリジナル韓国版(以下、韓国版とします)の全16話を見ることができる(9月30日まで、要加入)。
ということで、日本版の第9話は韓国版と比べてどんな感じになるのか楽しみにしていた。
日本版の第9話のあらすじはWOWOWさんのHPから引用させていただきます。
25年前、自分の犯した罪を闇の中に葬り去った正義は今、警察庁長官という大いなる野望に手が届くところにいた。田所を問い詰めた結果、琴音をひき殺した真犯人がいるという事実に行き着いた富樫は、中橋とのつながりから真犯人は正義ではないかと疑い始める。一方、正義の疑惑について知らされた真人は、かつて正義が母を見捨てたことを思い出し、正義と対峙することを決意する。正義と真人、父と子のドラマもいよいよ最終局面!
WOWOW ドラマW「怪物」より
日本版の主役2人は安田顕さん演じる富樫浩之、水上恒司さん演じる八代真人。
韓国版では富樫=ドンシク(シン・ハギュンさん)、八代=ジュウォン(ヨ・ジングさん)。
以下それぞれを富樫・八代、ドンシク・ジュウォンとします。
そして今回の話の中心となる人物は、日本版の羽多野署の警務課・田所幹男(藤森慎吾さん)、幹夫の母で県議会議員・田所加代(高畑淳子さん)、「中橋建設」社長・中橋陽平(橋本じゅんさん)、八代の父で警察庁次長・八代正義(渡部篤郎さん)。
韓国版ではムンジュ警察署捜査支援チーム員、庶務班長パク・ジョンジェ(チェ・テフンさん)、ジョンジェの母で市議会議員ト・ヘウォン(キル・ヘヨンさん)、JL建設代表イ・チャンジン(ホ・ソンテさん)、ジュウォンの父で警察庁次長ハン・ギファン(チェ・ジノさん)。
内容に関してはあまり詳しく書きませんが、日本版と韓国版のちょっとした違いや、少しネタバレを含む感想を書きます。
まず最初に、日本版は全10話、韓国版は全16話と6話韓国版の方が長いので、日本版の第9話が韓国版の第13話「問う」、第14話「答える」とほぼ同じ内容になる。※韓国版にはエピソードタイトルがあります。
そして第9話の日本版は45分で、韓国版の第13話が1時間02分、第14話が1時間01分なので計123分。韓国版の方が78分長い。
時間の長さが違うので当たり前だけれど、韓国版のほうが全体的に細かい人物像や状況まで描かれている。細かい部分はさておき、気になった部分について少し書きます。
以下、少しネタバレ含みます。
日本版と韓国版の話がだいぶ違う
話数も時間も違うので今までも違う部分はたくさんあったけれど、今回は特に多い。全部は書けないけれど、例えば…
ドンシクは警察庁次長のハン(ジュウォンの父)によばれ、ソウル庁監察調査係に移動となる。
そして次長がテレビ中継も入る長官になるために重要な人事聴聞会に参加している最中に、ドンシクが突然現れ人事聴聞会の会場にいたジュウォンは、おとり捜査の件で父の目の前で逮捕されてしまう。
実はこれはジュウォンの提案で、ドンシクは逮捕後にジュウォンが「必ず黙秘すること」を条件に提案に乗ったというあくまで芝居のはずが、ジュウォンは黙秘せず罪を認め停職処分となる…。
この話は日本版では全く出てこない、というか何もなかったことになっている。なので富樫は生活安全課のままだし、八代は逮捕されることもない。
署長と所長の違い
日本版で何者かに殺害された羽多野署・署長の秋山(利重剛さん)は、連続殺人犯の留置場の防犯カメラ映像を改ざんした張本人。
しかし、韓国版で殺害されたマニャン派出所・所長のナム・サンベ(チョン・ホジンさん)は防犯カメラ映像を改ざんしていない。
改ざんしたのはムンジュ警察署長のチョン・チョルムン(チョン・ギュスさん)。つまり、韓国版では防犯カメラ映像を改ざんした署長は生きていている。
建設会社社長(代表)2人の違い
日本版の中橋建設社長・中橋と、韓国版のJL建設代表イ・チャンジン。この2人はだいぶ人柄が違う。
中橋は物腰もやわらかめで落ち着いた雰囲気だけれど、イ・チャンジンは話している最中にロシア語が所々に出てきたり、髪型や服装も派手めで短気で荒っぽく、なにしろ狡猾でキャラクターが際立っている。
演出でそのような人柄になっているのだと思うけれど、見ている方としてはイ・チャンジンの方が面白いと思った。
八代は結構活躍するけれど…
八代は父親が事件に関係あるのではないかと疑いを持ってからだいぶ活躍するけれど、韓国版のジュウォンは真実に近づくためにマスコミに情報提供したり、テレビ中継されているなかで自分を逮捕させたり、やることが大胆で身を切る覚悟をひしひしと感じる。最終話での八代のさらなる活躍を期待したい。
次長の目指すところは?
日本版の八代の父・警察庁次長の正義は「長官」のあとに「政界進出」まで考えているけれど、韓国版では「政界進出」の話は今のところ出てこない。考えてみれば最初から「政界進出」が最終目標で、その後ろ盾を目当てに大手建設会社・社長の娘と無理やり結婚したのかな…
比べるのは酷だけれど…
話数も時間数も全然違うのでそのそも比べるのは酷な話だとは思うけれど、日本版の第9話の内容は韓国版の第13・14話の方が断然面白い。
「怪物」と対峙するために自らの信念や立場を犠牲にしてでも、真実を明らかにするという覚悟や執念みたいなものが韓国版の方が強く感じるからだと思う。
最終話に期待
今回の第9話で「誰が誰を殺害した」「誰が事件に関わっているのか」というのは、だいぶ明らかになっていると思うので、最終話では全てが明るみに出て勧善懲悪なすっきりとした結末となるのか、限られた人だけが罪に問われ、もやっとした感じで終わるのか、はたまた…
これまで見てきて、日本版はサクサク話が進むのでテンポが良いといえばそうなのだけれど、話の中心となる警察庁次長と建設会社の社長(代表)のキャラクターが際立っている韓国版の第13・14話の方が日本版の第9話よりも面白かった。
次週の第10話(最終話)は、韓国版の第15話(1時間01分)・16話(1時間19分)と同じような内容になるのだろうと思うけれど、ボリュームだっぷりの2話をどのように最終話として1話にまとめるのか気になる。
今回は少し辛口になってしまったけれど、このくらいにしておきます。
日本版「怪物」第1話・第2話まるごと無料配信中です。2025年9月1日現在。