本屋さんに行くとついつい長居してしまう、姉です。
本屋さんでは現在出版社の夏のフェアが絶賛開催中。フェアを行っている新潮文庫・集英社文庫・角川文庫、計3社の小冊子を見てみるとこれがなかなか面白い。
こちらが「新潮文庫の100冊」フェア。

集英社文庫「ナツイチ」フェア。

角川文庫「夏フェア」。

いろいろ面白いところはあるのだけれど、今回は3社ともに選ばれている作家とその作品をチェックしてみた。
3社で共通して選ばれている作家は10名、名前の下が各社の作品名です。新潮=新潮文庫、集英=集英社文庫、角川=角川文庫。
赤川次郎
新潮:我輩も猫である
集英:午前0時の忘れ物
角川:セーラー服と機関銃
芥川龍之介
新潮:蜘蛛の糸・杜子春
集英:地獄変
角川:羅生門・鼻・芋粥
伊坂幸太郎
新潮:オーデュボンの祈り
集英:逆ソクラテス
角川:グラスホッパー
伊与原新
新潮:月まで3キロ
集英:博物館のファントム 箕作博士の事件簿
角川:オオルリ流星群
恩田陸
新潮:吾輩も猫である、夜のピクニック
集英:スキマワラシ
角川:ユージニア
太宰治
新潮:人間失格
集英:人間失格
角川:人間失格、晩年、女生徒
夏目漱石
新潮:こころ
集英:こころ
角川:こゝろ
湊かなえ
新潮:絶唱
集英:カケラ
角川:高校入試
宮部みゆき
新潮:魔術はささやく
集英:R.P.G.
角川:青瓜不動 三島屋変調百物語九之続、おそろし 三島屋変調百物語事始
米澤穂信
新潮:儚い羊たちの祝宴
集英:栞と嘘の季節
角川:黒牢城
共通する作家は10名だけれど、作品まで同じなのは太宰治「人間失格」と夏目漱石「こころ」。
ということで、この2つの作品が各社でどんな感じで紹介されているのか見てみる。
太宰治「人間失格」
こちらが新潮文庫。「限定プレミアムカバー」が販売されている。カテゴリーは「ヤバイ本」に分類。
”ひととは何か。太宰治、捨て身の問題作
生への意志を失い、廃人同様に生きる男が綴る手記を通して、自らの生涯の終りに臨んで、著者が内的真実のすべてを投げ出した小説。”

こちらが集英社文庫。カテゴリーは「じっくり浸る本」。
”生きづらさを抱えた男の苦しみと堕落_。
金も美貌も知性も兼ね備えていたはずの男が振り返る恥の多い生涯。なぜ彼は酒と女と薬に溺れていったのか。太宰の死の1ヶ月前に書かれた遺書ともいわれる名作。”

こちらが角川文庫。「文豪ストレイドッグス」コラボカバー。
”なんて嫌な主人公なんだ。でも自分にも似たところが…。
「恥の多い生涯を送って来ました」。無頼の生活に明け暮れた太宰自身の生涯を極限まで昇華させた内的自叙伝であり、太宰文学の代表作である「人間失格」。他に、家族の幸福を自らの手で崩壊させる苦悩を描き、命日の呼び名の由来にもなった「桜桃」を収録。

新潮文庫は「捨て身の問題作」、集英社文庫は「遺書ともいわれる名作」、角川文庫は「太宰文学の代表作」と紹介している。
夏目漱石「こころ」
こちらが新潮文庫。「限定プレミアムカバー」が販売されている。カテゴリーは「愛する本」に分類。
”全高校生の心を揺さぶった究極の三角関係
親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、みずからも死を選ぶ、孤独な明治の知識人の内面を抉る秀作。”

こちらが集英社文庫。カテゴリーは「じっくり浸る本」。
”人の心の不可解を問う、漱石の最高傑作。
鎌倉の海で「先生」と出会い交流が始まる。容易には見せてくれない心のうち。どこか影があり、世捨て人のように生きる「先生」の過去になにがあったのか?”

こちらが角川文庫。「かまわぬ」和柄カバー。
”恋という罪悪を犯した私は、死ぬまで許されなかった。
鎌倉の海岸で出会った謎めいた「先生」。のこされた遺書には、彼の過去が綴られていた。のちに先生の妻となった下宿先の「お嬢さん」をめぐる親友Kとの秘密。死に至る過程と、エゴイズム、世代意識を扱った、後期三部作の終局にして、漱石文学の絶頂をなす作品。”

新潮文庫は「孤独な明治の知識人の内面を抉る秀作」、集英社文庫は「漱石の最高傑作」、角川文庫は「漱石文学の絶頂をなす作品」と紹介している。
表紙のバリエーションが豊富
2つの作品共に印象的なのは表紙。それぞれの出版社で個性があって面白い。
この2冊を筆者が最初に読んだのは中学1年くらいだったと思う、多分。その時の表紙は今回小冊子に載っていたいずれの表紙でもなかった。
中でも一番気になったのは角川文庫「人間失格」のコラボカバー。恥ずかしながら「文豪ストレイドッグス」がどういう内容なのかわからないのだけれど、表紙になるくらいだからとても人気があるのだろう。いつか機会があればどんな感じの話なのか読むか見るかしてみたいと思う。